絵もストーリーも駄菓子みたいな強烈な味わいを醸し出すあっぱれなユル漫画
更新日:2011/10/21
侵略円盤キノコンガ
ハード : PC/iPhone/iPad/WindowsPhone/Android | 発売元 : 太田出版 |
ジャンル:コミック | 購入元:eBookJapan |
著者名:白川まり奈 | 価格:1,050円 |
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「ゴジラ」で有名な東宝の特撮映画シリーズに「マタンゴ」という異色作がある。ヨットで外海に出た男女数名が遭難し無人島にたどり着く。乏しい食料をやりくりしながら救助を待つうちに、森の奥深くに不気味な形をしたキノコの群生を発見する。
あまりの気持ち悪さに口にすることができないが、そのうちとうとうひとりが内緒で食べ始めると、ひとりまたひとりとまねをするものが出始め、けれどどうも行動が怪しくなるのだった。
マタンゴには快楽成分が含まれるかわりに、食べた者は体が変形し、やがてマタンゴそのものになってしまうのだ。最後まで食べなかったひとりだけが救出され病院に収容されるのだったが…。
もちろんここには人肉食のメタファーが濃厚に塗り込められており、まわりが全部人でなくなってしまえば食べずにいることの意味がなくなる恐怖も描かれていて、生半可な娯楽映画ではなくなっている。
「侵略円盤キノコンガ」には、たぶんこの「マタンゴ」も影響与えてんじゃないか、と思ったのである。
ある山中に円盤が墜落する。ハイキングに来ていた少年とその先生が目撃し、研究班が到着するが、いつまでたっても円盤のニュースは世間に流れない。一方円盤の着陸後には奇妙なキノコが生えはじめ、人にとりついてはその人間をキノコ化し、キノコの付着した隕石を次々に呼び寄せ、世界中にキノコ人間がものすごい速さで増えていくことになる。この地球の危機を人類はどのように乗り越えるのか。
なにがいいってこのマンガは、絵が下手なとこが最高にノレるのよ。科学的には実にいい加減なストーリーを、これまた実に嘘くさい屁理屈で納得させながら進むお話なものだから、駄菓子みたいなぎこちない凸凹の描線が、あほくさくも真面目にもさせず、だらしなく寝っ転がって読める甘みに仕上げているのである。
もう今日は思い切り時間を無駄にしたい、そんなときにうってつけの3冊なのだ。
空飛ぶ円盤の解説がもっともらしい。いきなり嬉しい展開である
すべては一体の空飛ぶ円盤からはじまった
円盤の墜落を目撃する少年と先生
なにやらおぞましい怪物に襲われる山小屋のじいさん
地球に不気味なキノコが降り注ぐ
やがて町中の人間がキノコに…
やがて悲しいけれど安らかな結末が訪れる