際コーポレーション社長・中島武氏が説く、事業再生のノウハウが詰まった一冊
更新日:2011/9/5
「際コーポーレーション」と言われても、ピンとこない。『紅虎餃子房』や『万豚記』を始めとした飲食店を経営している会社だ、というのでようやく理解。その店舗数は、チェーン業態から高級・中級業態まで含めて約340にもなるという。
『祇園精舎の鐘の音 諸行無常の響きあり 沙羅双樹の花の色 盛者必衰の理をあらわす』
有名な平家物語の冒頭。どんな猛者もいつか衰えるときはやってくる。栄えているものもいつかは落ちていく。
ご存じのとおり、これは平家についてだけではなく、世の中のすべてのものに対して言えることである。
飲食店だって、いまはもてはやされていたとしても10年後も同じではないし、今、人気があるタレントだって同じ人気を保つことは難しい。でも、それは「現状」を保とうとするためである。常に「再生」を繰り返し、新しいことを取り入れ、自分のものにしていくことができれば、衰えることなどない…ということが書きつづられている。そして、その再生はどのようにして行うべきか、という具体例が挙げられている。
看板メニューを作るべし、人を惹きつけるコピーを作れ…。
そういったノウハウを中島氏が自らの経験を踏まえた上で綴っていく。
正直、こういったビジネス書は難しそう…と敬遠してしまいがち。だって本当に難しいんだもの! しかし、具体例がとても分かりやすくあげられているので、スルッと入り込むことができる。
売れるお店をモテる男に例えてみたり。
要は、昔売れていたのに、今は落ち込んでいる店は、当時の最先端ファッションに身を包み、「どう? 俺ってモテるんだよ?」と粋がっているようなものなのである。どんなにカッコよくても、今のトレンドを取り入れて工夫していかなければ、モテないよ、という話。
また、最近、ひとつのお店の歴史を追うバラエティ番組もあるが、それと同じように、中島氏の現在までの紆余曲折が描かれているので、読み物としてすごくおもしろい。ただの成功談だけではなく、失敗や挫折をどう乗り越えて、成功に持っていったのか、というのがうかがい知れる。
挙げられているノウハウは何も飲食店に限ったことではない。アパレル、一般企業、フリーで活動しているクリエイターにだって使えるものが多い。
分かりやすくまとめられたノウハウ
実際の店舗や料理などの写真が実例として掲載されている
こちらは万豚記のメニュー