大学で「営業手法」の講義を持つ伝説の営業マンが紐解く、超実践的営業マニュアル

本書の特徴はズバリ、「優秀な先輩にマンツーマンで教わる、営業ナレッジの凝縮版・誌上編」であるという点。
　　
ソニー生命で社長賞を2年連続受賞し、6年連続でMDRT(百万ドル円卓会議＝世界中の生命保険・金融サービス専門職の毎年トップクラスのメンバーで構成される組織)会員だった花田敬氏が、大学生に向けて受け持っている講義のコンテンツをベースにして、身につけたい考え方やスキルをコンパクトにまとめた1冊です。

しゃべりの上手い人＝営業向き、と勘違いされがちな営業職。そしてペコペコしたり、お願いして注文を取ってくるのが仕事、と思われがちな営業職。強引さがないと成績が出せないと見られがちな営業職。
　　
しかし現実は違います。しゃべりは決して上手くないけど、顧客の信頼度が抜群に高く、成績のいい営業担当や、顧客から先生と呼ばれて自分からアプローチしなくても依頼がじゃんじゃん舞い込む営業担当など、ふとけんも20年を超える社会人生活で、多くのタイプを見てきました。そう、営業は非常に奥の深い仕事なのです。
　　
新人時代に経験した営業職では、下から数えた方が早い（しかも、圧倒的に下位！）成績しか取ったことのないふとけんですが、読み進めていくと、本書に収録されているのは単なる知識ではなく、営業シーンでの会話・行動イメージなどを含めた「知恵」のレベルに近いことが分かります。
　　
営業の教科書的なものは、これまでたくさんの方によって世に出されてきました。営業ナレッジはその仕事内容の特性上、営業担当個人に紐付きがちなことは否めませんが、本書は読んでおいて決して損はしない内容だといえるでしょう。営業が、人が人にモノやサービスを売るという仕事である以上、「あなただから買うよ」というのが究極の目指す姿であり、喜びややりがいであることに変わりはありません。ふとけんとしては、そのための基礎のエッセンスがたくさん、わかりやすく盛り込まれている点を推したいと思います。
　　
大学で営業手法の授業という筆者の取り組みはとても珍しいですが、そこから営業に興味をもつ大学生が増え、数年・数十年後には伝説の営業マン・営業ウーマンが誕生してたりすると、すごいですよね。

目次は実に72本（タイトルどおり）！ 一つ一つの項目が丁寧に細かく解説されています。ふとけんは経営コンサルティング会社時代に「分かることは分けること。選ぶことは捨てること」の重要さを痛感しましたが、まさに営業コンサルティングを手がける筆者は、基本に忠実になることで、細部にわたって非常にわかりやすい内容を実現しています

蛍光ペン機能を多用して、「なるほど！」と思うところにマーカーを引きまくりましょう。とくに本書のような本は、綺麗に読むことに意味はありません！！ 小説ではないのです！！ とにかく気になる箇所はマーカーして、何度も何度も身につくまで叩き込みましょう。またわからない言葉はその場で検索して、意味がわからないまま読み進めることのないように！

図解は文章で読んだことを整理してくれます。本書には「図①：営業の法則の変化」「図②：顧客の４分類」「図③：セールスプロセスとは」「図④：Before→Afterを明確に」「図⑤：目標達成には逆算思考で」の5つの図が掲載されています。確かに成績のよい営業担当者はこれらを実践し営業部内でも共有され、運用も徹底しています。皆さんの会社の営業はどうですか？

社会人経験のない大学生向け講義を受け持つ気配りがここにも！ 「アポイント」「アプローチ」「ヒアリング」「プランニング」「プレゼンテーション」「クロージング」「紹介入手」など、コーナーごとに「スキルのまとめ」が押さえられています。しかも会話例やタイミングなども各論でふんだんに入っていて超・実践的。ヘタな先輩に教わるより基礎がしっかり身につきます！