アメリカ大統領選挙ほど、世界の未来を左右する劇場はない

更新日:2011/9/5

イーグル (1)

ハード : PC/iPhone/iPad/Android 発売元 : 小学館
ジャンル:コミック 購入元:eBookJapan
著者名:かわぐちかいじ 価格:432円

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「沈黙の艦隊」のかわぐちかいじが描く選挙ドラマである。
  
アメリカ大統領選挙は、民主党、共和党の二大政党により、予備選挙と本選挙の二段階で行なわれる。まず予備選挙によって、有権者は支持政党の代表議員を選び、両党の指名候補は、各自副大統領候補を指名し、本選挙へと臨む。アメリカ人にとっては、全米50州2億の国民全てを飲み込むようなエネルギーを放つ政治的イベントなのである。

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その43代大統領選挙に、ニューヨーク州選出の民主党上院議員ケネス・ヤマオカが立候補する。ケネス・ヤマオカはイエール大学法学部卒のエリート弁護士であり、日系三世。時同じくして、母を事故で亡くした、毎朝新聞の地方記者・城鷹志にケネス・ヤマオカ陣営から密着取材の依頼が届く。鷹志は、選挙対策本部マスコミ担当レイチェルやアフリカ系の選挙対策本部長アーサー・マッコイ、選挙コンサルタンントのジョージ・タクトらとともにジャーナリストとして、大統領選挙に携わるのだった。
  
日本人記者・鷹志の目から見た選挙戦は、過酷かつドラマチックである。スキャンダルの匿名リーク。選挙屋が放つスピンと呼ばれる情報操作。そして、浮き彫りになるアメリカ人が望む大統領像。銃規制や人種差別という現実。大統領に選ばれるには、その全てを乗り越えなければならない。
  
物語が進むにつれ、鷹志は担当記者に選ばれた理由を知る。それはケネス・ヤマオカの実子という事実。その事実に驚きながら、鷹志は母の死を不審に思い始める。母は、父の大統領選挙のために殺されたのではないか、と。選挙の渦中で、父と子の未来、そして母の死の闇が交錯する。
  
「沈黙の艦隊」では、軍事的戦略とその中の人間が描かれていたとすれば、「イーグル」では、政治的戦略の中で、理想にかける人間が描かれているように思われる。大統領選挙というのはそれほどに、日本の選挙とは比べものにならないイベントなのである。
  
私が個人的に興味を引かれたのは、エスタブリッシュメントと呼ばれる、社会的な権威を持っている階層描写である。私が思うに、それはアイビーリーグのアメフトQB選手に象徴されていると思う。
  

政治家は指導者、つまり導くのである。国を、そして人を

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選挙の後は、政権という道がホワイトハウスへ続く (C)かわぐちかいじ/小学館