修羅をさまよう主人公の姿に宮沢賢治も萌えた

更新日:2011/9/5

大菩薩峠 1

ハード : PC/iPhone/iPad/Android 発売元 : グループ・ゼロ
ジャンル:コミック 購入元:電子貸本Renta!
著者名:ふくしま政美 価格:105円

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物書き業界内でも「大菩薩峠」のファンは意外に多い。熱心なファンのひとりに、宮沢賢治がいるのは知る人ぞ知る驚きの事実だ。「大菩薩峠」主人公の机龍之介のために、賢治は詩を一つ捧げてるくらいなんである。

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無常感と煩悩が壮大な葛藤の曼荼羅を繰り広げる仏教的な世界観も、きっと賢治のお気に入りだったのだろうけれど、虚無にとりつかれ、まるで神仏に挑戦するかのように理由もなく巡礼の老人を切り捨ててみせる竜之介の、生々流転の姿に波瀾万丈な娯楽小説の楽しみを見つけたのも間違いないはず。竜之介を取りまく無数の人物たちひとりひとりがちゃんと抱え込んだ業のようなものの行方も読めば読むほど先が気になってくるのだなあ。
  
この漫画版の「大菩薩峠」は、絵が劇画調でなんだか全体に色っぽいのだが、ここぞといった場面で力一杯見せる「その姿勢は無理だろう」的なほとんど人類骨格違反の見栄が、なかなか可愛いくて魅力。
  
原作ではじまってすぐ斬られちゃう巡礼の老人を、こちら漫画版では若未亡人風の女性に換えてあって、なおかつ彼女の背には菩薩像の入れ墨が鮮やかに、とお話を毒々しく三面記事的に色づけするのが方針と読みました。主演の机龍之介には、松井誠がお似合いでしょう。
  
現在6巻刊行で、お話のほんの初めまでしかいってません。続々の続刊を期待します。

いきなりおどろおどろしい物語を予想させるエピローグ

女巡礼を一刀のもとに斬り捨てる。まさに理由なき殺人

宇都木道場主の妻・浜が奉納試合の裏取引に訪れるや、すぐさま籠絡して犯す。だがこの二人の縁は、やがて数奇な運命を紡いでいくことになるのだ

人斬りになにやら超人的なステージを開いたかの竜之介。何かが見えるらしい

サンタナか、見えたのは。それはちょっとまずかろう

うがったことをいいます、竜之介

デ、デッサンが…