酒、肝臓、依存症…でも(わりと)明るめな入院物語

小説・エッセイ

更新日:2012/3/2

今夜、すべてのバーで

ハード : PC/iPhone/iPad/Android 発売元 : 講談社
ジャンル: 購入元:eBookJapan
著者名:中島らも 価格:486円

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みなさん、おはようございますコンニチハ今晩は。「馴染みのバー」ってのに憧れている中國卓郎です。

ま、モッパラ呑むのは生ビールだし居酒屋で十分なんですが、そういえば今年もビールのウマイ季節が(とっくに)やって来てますね。ワタクシ、常日頃から「お酒と幸せはホドホドが宜しい」と思ってるものでして、要するに何事も「過ぎたるは及ばざるが如し」ってなもんです。

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しかしこの作品の主人公、小島(35歳)は「過ぎちゃった」どころか「ブッちぎっちゃった」人物であります。その結果、肝臓を患い入院することになり、物語は彼の入院生活をメインに進行して行くのですが…。

なんせ入院患者が主人公なもんで非常に地味です。だから病院を占拠するテロリストや、人類を病原菌で抹殺しようと企む科学者は出てきません。だもんで濃厚なラヴシーンや痛快な逆転劇なんてモノも当然ゴザイマセン。でも大丈夫! オモシロイんですこの作品ってば!

特にお酒好きな方々にオススメしたいです。作者である中島らもさんが、持ち前の繊細かつ軽快な文章で酒について綴った文章を読んだら、そりゃ間違いなく喉も鳴るってもんです! しかし同時に、本書は酒好きにとって非常に恐ろしい情報が満載だったりもします。

例えば、皆さんは「連続飲酒」なるモノをご存知でしょうか? ごく普通の酒飲みが、突然ある日を境に線が切れたように朝昼晩、一週間二週間と呑み続ける症状のことで、これがアルコール依存症の第一段階らしいです。また少々汚い話になってしまい恐縮ですが、人は極限まで呑み続けると、コーラの様な色の尿が出るらしいですぜ? その一方、対照的に便は真っ白なモノが(バリウムを飲んだ後の様に)出るらしいです。

イヤハヤ…やはり何事もホドホドが良いなぁ。なんてシミジミ思いつつも、お酒の美味さと怖さの両方を知ることにより、さらに酒が好きになれる一冊ではないかと思います。

あ、大事なことを書き忘れてた!

この作品、ヒロインが中々に良いんですよコレが! いや登場シーンは少ないんですけどね。でもこれ以上長くなるのもアレなので断腸の思いで割愛しますが、とにかくヒロインが良いのです以上っ!

序文です。良いセンスだなぁ

子供の頬を「水蜜桃」にたとえる発想力、これまた素敵です

入院患者に往復ビンタ。問答無用なヒロインの登場シーン (C)中島らも/講談社