犬が生きることを教えてくれた。人生とは何かを考えさせるコミック

更新日:2016/1/8

犬と暮らせば

ハード : 発売元 : 双葉社
ジャンル: 購入元:KindleStore
著者名:やまさき拓味 価格:※ストアでご確認ください

※最新の価格はストアでご確認ください。

 近頃ほとんど毎日のように犬の夢を見る。犬欲が高まっているなあと思う。犬は素直でバカっぽくて可愛い。建前に疲れる人間は犬のそういうところに癒されるのではないかと思う。先日友だちの家に行ったらチワワがいた。最初は吠えられたがすぐにクンクン嗅がれて様子見が始まり、撫でて~と甘えてきた。私があやすと犬は嬉しくなって「たまらん!」といった感じで飛びついてきた。その変わり身の早さは、プライドで凝り固まった人間には真似できない。私も体が犬を求めているのを散々自覚し、柴犬と触れ合えるというスポットに近々行く予定を立ててしまった。

 『犬と暮らせば』は6匹の犬のエピソードがそれぞれ描かれている。犬のおバカさを楽しむ本というより、シリアスで、しんみり、涙を誘うような本である。作者は実在のわんちゃんたちから着想を得たそうだ。

advertisement

 ボストンテリアの紋(もん)ちゃんは、前の家から新しい飼い主に引き取られて約1週間。古いお気に入りの布をボロボロになっても手放さない。飼い主は、自分が新しい飼い主だと認められていない気がして、布が汚いからと勝手に捨ててしまう。布がなくなって激しく落ち込む紋ちゃん。飼い主は事情を知ろうと前の家をたずねる。そこで、紋ちゃんが大事にしていた布は、亡くなったおばあちゃんの寝間着だったことを知る。かつておばあちゃんは、戦争で亡くなったおじいちゃんが帰ってくることを信じて、おじいちゃんの寝間着を毎日洗濯し続けた。それはおばあちゃん自身が亡くなる前日まで続いた。おばあちゃんの洗濯の様子を見ていた紋ちゃんが、今度は、亡くなったおばあちゃんが戻ってくるのを信じて、おばあちゃんの寝間着を手放さなくなったのだ。本当に紋ちゃんがそう信じていたのかは分からないが、寝間着の匂いにおばあちゃんを感じていたのは確かだ。

 犬は人間と大いにコミュニケーションを取る動物だ。人間は、素直で元気いっぱいの彼らに励まされて生きてきた。生きることや愛情とは何かを感じさせる1冊。

 


ボロボロの布を手放さない紋ちゃん

シェパードのオルトと出会った補欠野球少年

ミニチュアダックスフンドのミニーちゃんは目が見えない

グレート・ピレニーズのユキが朝未だきの散歩で楽しみにしていることは?