『猫なんてよんでもこない。』の杉作氏が描く強くて優しい猫と女の子の物語 【2/22は猫の日!】
更新日:2015/2/22
両親の離婚によって、新しい街で生活せざるを得なくなった女の子・ほのかは、元のおウチに戻りたいと泣き通し。新しいおウチを世話してくれた大叔父の権じいはとっても怖そう。知ってるコが誰もいないから、楽しみにしていたはずの小学校の入学式も行きたくない。優しいお母さんも、仕事でいっぱいいっぱいだ。
でも、この街には、ノラ猫たちがいた。心細くて仕方がなくて、誰がなだめても泣き止まないほのかだけど、何故かいつも近くに現れる猫の姿を見ると泣くのを忘れてしまう。
ノラ猫たちのボスは、その名もノブナガ。
日々、街をパトロールしてよそ者から縄張りを守り、お腹を空かせた子猫にエサを取ってやる。子猫を、母猫を、そしてほのかを、いつも少し距離を置きSPのように見守っている。
権じいやノブナガに見守られながら、新しい街に馴染んでいくほのか。怖かった権じいも大好きになった。友達もできた。この街で1年が経ち、立派な2年生になった。そしてノブナガは…。
2016年映画化予定の『猫なんてよんでもこない。』の作者、杉作氏の、今回は実体験的なお話ではなく、猫と女の子の物語。猫を飼って20年以上の杉作氏だからこそ、猫の生態にリアリティーがあります。野良として生きる厳しさにも目をそらしません。
猫と女の子。運命にも大人の都合にも逆らうことのできない、小さな存在。それでも背筋を伸ばして生きて行く姿に、彼らを愛おしく思い、守りたいと思わせる。作者の作品に通じて描かれる猫との共生を超え、人間が猫に生かされていること、生きる力をもらっている感覚をここにも感じます。
独特のほんわかした色合いで描かれる四季は美しく、女の子や子猫の目はキュン死にしそうなほどかわいいのですが、それだけに生きる厳しさやあたたかさが迫ります。
猫が、人が、みんなを育ててくれる。ひとりぼっちじゃないこの世界に、ノブナガもほのかも、ひとり背筋を伸ばして生きています。
柔らかな色彩で詩のような物語がはじまります
杉作氏の描く子猫の目は反則級にカワイイのです
コワモテ権じいのお店にちょっとだけ預けられたほのか。色々事情もあって…
慣れない女の子の扱いに空回してた権じいだったけど、夏にはすっかり仲良しに
ずっとそばにいてくれるけど人間とは距離を取るノブナガに初めて触れた瞬間です