不安にからめとられ無気力になる前に。生きる指針としての哲学を失った現代人の必読書
更新日:2012/1/10
『必死』という言葉は深淵である。 必ず死ぬと書いて、必死。
しかしその意味するところは、「ど真剣に生きる」である。
『一生懸命』という言葉も深淵である。
命を懸けて一の生(いま、ここの生)を生ききる。
その意味では、『一生懸命』は『必死』と同根である。
動かせない過去や未来への不安にからめとられ、
目の前のいま、ここに無気力になりがちな私たち。
その根源には、そうした死生観の欠如がある。
そんな魂のメッセージが、彼岸から響いてくる作品である。
衣食足りているはずなのにどこか閉塞感がある。
やるきさえあれば、どんなものでも手に入り、
何でもできるのに、無気力で悲観的になってしまう。
そんな閉塞感が社会を覆っているのは何故か?
それは、多くの人が生きる意味や価値を見いだせず、
人生の指針を見失っているからではないか?
今日の社会的な混乱は、そうした人生観の欠如に起因する。
と、著者は、看破する。
京セラとKDDI。二つの企業を創業し、世界的な成長へと導き、
97年には、臨済宗にて得度も受け僧となった。
現在は、JALの会長として、半国営企業の再建も引き受けた。
稲盛さんは、当代きっての名経営者だけでなく、
生死の苦界を渡って涅槃に到ろうとする菩薩行の見本なのである。
私たち人間が生きている意味。
人生の目的は、「心を高めること。魂を磨くこと」。
そのことをに心身ともに受け止められた時、
あなたにとって、本書は人生の名著になるはずだ。
7年前、人生にも仕事にも倦んでいた私にとって、この名著(死生観)との出会いは、その後の生き方の大きな転機となったのだ
日常の仕事に、全霊を傾ける。その錬磨にこそ、人生の真理体得の道が拓ける
人生の結果=考え方×熱意×才能。「才子、才に倒れる」現代人は、考え方と熱意を軽視しすぎている
二宮尊徳も、宮沢賢治も、本来の意味の「一生懸命」「必死」だった