『バジリスク~甲賀忍法帖~』の作者が初めて世に放った渾身の大河伝奇!

公開日:2015/3/10

鬼斬り十蔵

ハード : 発売元 : 講談社
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著者名:せがわまさき 価格:※ストアでご確認ください

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 戦後の伝奇・娯楽小説界に広く影響を与えた人物の一人に、山田風太郎先生がおられます。彼の作品は古くからメディアミックスされることが多く、せがわまさき先生の『バジリスク~甲賀忍法帖~』もその1つ。山田先生の『甲賀忍法帖』を原作としたもので、講談社漫画賞一般部門を受賞し、テレビアニメの放映もされるほど根強い人気を見せつけました。そして『人斬り十蔵』は、せがわ先生最初のオリジナル長期連載作品。これぞ伝奇という独特の世界観を、思う存分に堪能してください。

 時をさかのぼること800年前、蘆屋道満(あしやどうまん)は安倍晴明との術比べに負け小刀に封印されました。それを「鬼込の太刀」と呼んで代々受け継いできたのが九曜香奈瑚(くようかなこ)。彼女はそれを決して抜いてはならないという母の言いつけに従っていたのですが、彼女の父違いの兄、腕源蔵(かいなげんぞう)が賭博で作った借金の質にされかけてしまいます。そのときの騒動がきっかけで封印が解け、道満が復活。源蔵の魂は体を追い出され香奈瑚の中へ、源蔵の体は道満に奪われてしまいます。道満に殺されそうになった2人の危機を、間一髪で救ったのが腕十蔵(かいなじゅうぞう)。あと1歩まで追いつめるも、取り逃がしてしまいます。一行は源蔵の体を取り戻すべく旅に出るのですが、封印の800年間に恨みを募らせていた道満の力は強大で…

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 妖怪、転生、狗神、隻眼、天狗の師匠、いにしえの大陰陽師の血統。なんとも心くすぐられるワードではないですか。ちまたではかわいい妖怪さんがはやっていますが、やはり妖怪といえばこういうオドロオドロしさも外せません。こってりとした伝奇ものが読みたくなったときに、まず手にとりたい作品でした。


隻眼の凄腕剣豪、十蔵。恵まれた体躯もあって迫力あります

餓鬼の群れとひたすらしのぎを削る…天狗の師匠から教わる剣の修行は命懸け

普段は表情変化の少ない十蔵も、香奈瑚に関するとそうはいかず。河童の仕業に無言のまま怒っております