『わさんぼん』から目が離せない! 和菓子のように甘くバラエティーに富んだ恋愛コメディ

更新日:2015/3/20

わさんぼん

ハード : 発売元 : 芳文社
ジャンル: 購入元:KindleStore
著者名:佐藤両々 価格:※ストアでご確認ください

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 京都といえば、京菓子と京都女。超主観ですが、どちらにも一見しただけではわからない深みと意外性が、中に秘められています。

 さて、本作のタイトルは『わさんぼん』。和三盆です。黒砂糖をまろやかにしたような風味を持つ高級砂糖で、生菓子の対になる干菓子などに使われています。主人公の草太は製菓学校で学ぶ和菓子職人志望。そんな彼は、卒業後、老舗の和菓子店で住み込みの修業を始めます。店の旦那も、跡取り息子もあくが強い京都人で、生粋の職人気質。ちょっと天然が入っていながらも和菓子に対して熱心な草太は、京都人の裏表にときには翻弄されながらも、夢に向かって着実に進んでいきます。看板娘である牡丹(ぼたん)への思いを募らせつつ。

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 京菓子のように甘そうな美しい容姿ながら、外見からは推し量れない意外性ある牡丹や彼女の母の言動は、「あるある」とにやけてしまうような、いかにもな京都女。草太が「今度、一緒に人力車に乗ろう」と誘って「また今度」と返事する牡丹の内心は「(今度は)ない」。母の「どうですやろ」は、「ダメ」。表情からは読み取れない彼女らの言動に、草太は「京女の喜怒哀楽は笑顔」であることを悟ります。

 和菓子職人として修行を重ねる草太は、粘土で和菓子づくりの練習に励みます。そして、ひょんなことから、粘土でアクセサリーをつくることになり…。草太の若者らしい新しい発想が、老舗店に新しい風を吹き込む過程が新鮮で読者の心を踊らせます。

 恋も菓子作りもまだまだな、半人前と呼ぶにもおこがましい、4分の一人前な彼のひたむきな姿勢に、つい応援したくなります。4コマ構成なので読みやすいのも◎。和菓子は本当においしそう。夜中に読んではいけません。


和菓子を使ったユニークな登場人物紹介

牡丹に一目惚れする草太

京都女の「また今度」は、8割方が「(今度は)ない」