「検索バカ」になっていませんか? 大切なのは、「検索」ではなく「思索」なのです!!

更新日:2011/9/12

検索バカ

ハード : PC/iPhone/iPad 発売元 : 朝日新聞出版
ジャンル: 購入元:電子文庫パブリ
著者名:藤原智美 価格:540円

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ネットでの検索にみなさんどのくらいの時間を費やしていますか?
  
私“ぷりまべら”は検索大好き人間。ネット検索にはまってしまい、「あぁ~、こんなに時間が経ってしまった」と後悔したことも数知れずあります。
  
そんな“ぷりまべら”が今回読んでみましたのは、「検索バカ」という本。「検索と情報処理にたけて、クウキ読みさえできれば、この世の中、うまく渡っていけるかのような昨今ですが、はたしてそうでしょうか?」といったことがテーマの本です。

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本書で著者の藤原智美さんは、ネットの普及にともなって2000年頃から、本、レストラン探しから政治、株まで、ネットでの「人気」(=評価)が人々の判断基準における重要なものさしの一つになったとし、この人気者探し、みんなの思考を知りたいという強い願望を、別の言葉で言い換えると「空気を読む」ということになるとしています。「検索の時代」と「空気を読む」という現象は、一体となって進展してきたとし、その2つが相互作用して、ともに強くなってきたというのです。そして、私たち現代人の「自立して考える」力の衰えを指摘。大切なのは、「検索」ではなく「思索」とし、無意識のうちに「思考放棄」をしている人々が増えていることへの危機感をあらわにします。
  
藤原さん自身も、パソコンでの検索やネット閲覧にかける時間が年々増え、「検索バカ」になりつつあるのかもしれないと危惧していますが、おそらく今、「検索バカ」でない人を探す方が難しいのではないでしょうか?
  
本書が発売されたのは数年前ですが、こういった状況は改善されるどころか、悪化しているように思えます。藤原さんは、「ロダンの『考える人』のように、私は考えることができたらと思います。(中略)いま必要なのは、あの鋼のような思考する態度です。口を閉じて、情報をたちきって、しばし考えてみましょう。」と語っています。そこまでストイックに考え抜くことはなかなか難しいかもしれませんが、“自ら考える”ということの大切さを日々忘れずに暮らしていきたいなぁと、思いました。

「おい藤原、このままでいいのか!」の一文で始まる本書。著者自身も「検索バカ」になりつつあるのではないかと、危機感をつのらせているのです

現代日本には「世間」がなくなったと考える著者。第7章「世間から露骨へ」では、世間が喪失し、その空白に侵入してしてきたのがクウキであり、世間からクウキへと「日常の制御機能」が入れ替わったと語っています