なすの浅漬け、きんぴらごぼう。卵も笑顔もとろける幸せごはん【フルカラーコミック】

　“たな”さん作の『ごはんのおとも』ではとても美味しそうな料理が８つのほっこりエピソードと共に紹介されています。登場するのは地元の料理屋「ひとくちや」に集う人たち。個々の物語はあるけれど、そのどこかで主人公たちが繋がっている仕掛け。

　本作で紹介されている料理は、たまごの黄身のしょうゆづけ、しそみその焼きおむすび、なめたけ、なすの浅漬け、セロリのじゃこ炒め、こぶのつくだに、とりそぼろ、きんぴらごぼう。どれも、家庭の味を思い起こさせる料理ではないでしょうか。そんな、地元や家族を思い起こさせるレパートリーだからこそ、人のあたたかみを感じるストーリーとなっています。

　第1話「きみとのであいは、」では、独身会社員のタブチ君が主人公。恋の気配はなく、相手を作れとまわりに急かされても「今はまだ美味しいものを食べることが何より一番楽しくて」というタブチ君。ご飯をとっても美味しそうに食べる彼には、恋人は不要。けれどある日、コンビニで食べ物を物色するタブチ君の前にある女性が現れます。衝撃の出会いを果たしたタブチ君は次の日、定時に仕事を切り上げ、お菓子タイムも取らずいそいそと帰路につきます。「はやくはやく今すぐに愛しの君に会いたくて」と、どうしても会いたくなってしまった”君”のためだそうですが…。

　それぞれの物語を経た登場人物たちが一堂に会してお花見パーティーを開くラストシーンはとても心が和みます。各ストーリーのあとには、美味しそうなイラストと共に、作中に登場した料理の作り方やワンポイント等が書かれています。フルカラーなので、おおいに食欲をそそられます。大切な人たちとの日々の食事を大事にしたくなる、そんな素敵な漫画です。