日本のすみずみにはおいしい魚やひなびた温泉、観光地にはない掘り出し物がたくさん!

小説・エッセイ

更新日:2013/8/12

日本すみずみ紀行

ハード : PC/iPhone/iPad/WindowsPhone/Android 発売元 : インタープレイ
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:eBookJapan
著者名:竹内正浩 価格:648円

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この本で紹介されている土地のほとんどが、地元の人でもなければ、地名を聞いてもどの県にあるのかさえわからないようなところ。そんな、これといって観光する場所もないような、たいていはさびれた町や村を、この著者は訪ね歩く。

海辺の町でその土地でしか食べられない魚介を肴にビールを飲んだり、旅館もない町で商人宿に泊まったり、山里では掘っ立て小屋のような湯治場で、熱い湯に疲れた体を沈めたり。

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行った先でお昼でも、と思っていたら、駅前に食事ができるような店のひとつもなくて当てが外れたり。列車やバス、船の便が少なくて立ち往生する羽目になったり。地元のおばさんたちに「一人旅は寂しかろう」と冷やかされたり。

また、著者が行く先々で体験したことだけでなく、その土地の歴史や産業、いつ何で栄えて、今はなぜ過疎化しているかなどのバックグラウンドが紹介されていることも、この本の魅力となっている。

私は観光旅行にはあまり興味がない。過去の遺産である名所旧跡を見て歩くより、現在の地元の人たちの暮らしぶりに触れることのできる旅が好きなのに、ここ何年もそういう旅に縁がなかったこともあって、久しぶりに旅情をかき立てられた。

読み終わって、ふと、いつ書かれた紀行文なのかと思ってあとがきを見ると、昭和62年。「あのひなびた村で温泉にゆっくりつかってみたい」、「あの海辺の町であの魚を食べてみたい」…などと、すっかり行く気になって読んでいたが、それを見て現実に引き戻された。

この本で紹介されているのは、ほとんどが過疎化高齢化しているところ。あれから20年以上が過ぎ、この本に登場した町や村は今ではどう変わっているだろうか。

さて、問題です。この地名はどの都道府県にあるか、いくつわかりますか

瀬戸内海の小さな町、牛窓。昔栄えた古い港町には立派なお寺が多い

訪ね歩いた場所は地図で紹介されている

恐山にふさわしい? 掘っ立て小屋のような湯治場 (C)川本三郎/インタープレイ