あまりの濃さに説明不可能! とにかく読んでほしい、ファンタジー×キャラクター小説
更新日:2012/3/5
高校時代、全16巻を3日で読破したこの小説。
やはり同じ勢いで読んでしまい、「わー楽しかった!」と大満足だったのですが、いざレビューを書こうと思ってから1ヶ月もフリーズしてしまいました。というのも、設定もキャラクターもあまりにぶっ飛んでいて、どう説明していいかさっぱりわからなかったのです。
ぶっ飛んでいる、というのはちょっと違うかもしれません。あらゆる「ベタ」が詰まっているというのが的確かも。ファンタジー、チャンバラ、ハーレクイン、キャラクター小説、ギャグ、萌え設定…。久しぶりに読み返していて、以前は気づかなかったその合成の巧みさに感心してしまいました。
たとえば第一部(1~4巻)は、国王ウォルの王国奪還編。
実は国王庶子と知らされた、田舎の伯爵息子・ウォル。王国の危機に仕方なく冠をかぶったもののその意外な有能さから陰謀のうちに放浪の身となり、王国と義理の父を奪還救出するため一人さまよっています。刺客に襲われたところ助けてくれたのが、まだほんの子ども。どこにそんな力が、と思うほど化け物じみた強さと能力、そして大人のような頭脳をもった美貌の少女・リィ。ところが彼女は「自分は異世界からまぎれこんだ、しかも本当は男だ」と言い出す。
これだけで、1巻の半分もいっていません。ね、濃いでしょう?
ファンタジーとしての設定、騎士道物語的なストーリーもしっかりしていて、「空から美少女が降ってくる」的なお約束もバッチリ。そしてこの二人の関係が、好青年と美少女でありながら、男同士・バディものの雰囲気。人によってはBL的な匂いを感じるかもしれません。
BL的といえば、ウォルを支持する、前国王の忠臣(渋みただようおじさま)だのウォルの従弟の伯爵(フェミニスト系)だの、幼馴染の山賊(ヤンチャ系)だの最強の騎士団の騎士(温和でキレると怖い系のロン毛)だの、敵には最強の策士(わかりやすい悪役おじちゃま)だの。女性は女性で、きっぷのいい女官長に女だてらに馬を走らせ戦う美人とか。
はい、これでも第一部の登場人物すべてではありません。
5巻以降は、暗殺集団だの、隣国との戦争だの、リィのヒミツだの、ハーレクイン的ロマンスだの、もうなにからなにまでてんこ盛り。王国の成長、そしてこれだけの登場人物たちの生き様(というほど重たくもないけど)を、ウォルとリィを軸にすえ、何年にもわたって展開させていくのです。
いつまでたっても文体は軽く読みやすい。会話に笑う。展開にハラハラする。ストーリーは重厚。とくればハマらないはずありません。
16巻も本棚に置けないよ! という人や、じゃあためしに一部だけ、という人にはぜひおすすめ。おそらく読めばとまらなくなるはずなので、すぐに続きを買える電子がぴったりです。
ちなみに私は暗殺集団の一人、レティシアというキャラがいたくお気に入りだったのですが、誰からも同意を得られませんでした。誰か、賛同してくれる人、いませんかね。
デルフィニアをはじめ、世界観を示す地図を頭に掲載
書籍に掲載されていたイラストも収録。書籍は表紙もイラストなので、手に取りづらい、というひとも電子ならお気軽に購入できますね
ノベルス書籍なので、もともとの文字組みも1行あたりが短いです。なので、横向きで読むほうがバランスがいい、ということもあるかも