”爆買い”するほど、ニッポンが好き!? 中国人の意外なホンネを知る1冊

更新日:2015/9/29

なぜ中国人は日本のトイレの虜になる​のか? 「ニッポン大好き」の秘密を解く

ハード : 発売元 : 中央公論新社
ジャンル: 購入元:KindleStore
著者名:中島恵 価格:※ストアでご確認ください

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 あまりにそのままなタイトルもハデですが、今まさにタイムリーな感じがして購読。中国も韓国も日本にとってはお隣さんで、上手くやっていかなければならない存在。彼らが日本をどうみているのか、いえ、中国人に限らず「世界が日本をどうみているのか」ということに、最近、日本人は敏感ではないですか? テレビ番組もしかり。日本ひいきの外人さんたちが沢山出てくるし、にわかナショナリズムなムード。こういう本は西洋では見つかりません。

 例えば、よく行くスペインの本屋で「ここが不思議! 外国人から見たスペイン」とか「スペイン大好き日本人」みたいなタイトルの本は皆無です。おそらく、西洋や中近東の国々ではどの国に自国が好かれようと、嫌われようと知ったこっちゃないというスタンスなんでしょう。でも、日本人なら、中国人が韓国人が「ニッポン大好き」って言ってくれるとほっとするはず。両国間の政治は個人の好みなどとはまったく関係ないのですが、そういう安らぎを求めて本書を手に取る方もいるのではないでしょうか。微妙な日本人の心理をよく掴んでいます。

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 ですが、本書はタイトルから想定する覗き見的な内容ではないのが、逆に新鮮でした。著者は88年以来、中国を頻繁に行き来し、中国のレポートを沢山てがけ、中国人との友好を深めているフリージャーナリスト。長いスパンで、中国の市井の生活の変化と変わらない部分を肌で感じてきました。なので、友人、知人、仕事相手など、一般人の「普通はこういう感覚」が、読者にとってわかりやすく親しみやすい逸話が沢山でてきます。

 決して、中国批判に陥るわけでもなく、日本のナショナリズムに浸るわけでもなく、近くてもこんなに違う、いくら急激な経済成長をして生活レベルが上がっても、中国人と日本人の思想の根本的な違いを、とても簡単に分からせてくれます。外からの見方と内からの見方を丁寧に比べてくれる本書。普段の生活で見かける中国人だけで「中国人ってこんな人」という判断は危険だと、わからせてもらいました。


隣国でも習慣はこれだけ違うのです

この比較の仕方はわかりやすい

日本人も中国に暮らすと「心がすさみ、あきらめてしまうから」というのが哀しい現実