ここまでわかって、料理ができたらスゴイ! 発奮のレシピ集

更新日:2011/11/11

陰陽調和料理で健康 -肩こり・冷え症・アレルギー-

ハード : PC/iPhone/iPad/WindowsPhone/Android 発売元 : 農文協
ジャンル:趣味・実用・カルチャー 購入元:eBookJapan
著者名:梅崎和子 価格:735円

※最新の価格はストアでご確認ください。

すっかり農文協レシピ本の編集部の回し者のようになってしまっていますが、このシリーズ、はまっています。
仕事やお付き合いで外食があるものの、基本的に3食自宅の我が家では、レシピ本は読んでも読んでも常々役に立ち、好きなものや、定番レシピに頼りがちになってしまう日常に喝を入れてくれる存在です。

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こういう料理本は日本語やアジア言語でしか出ていないのかと思うと、西洋人よ。スマン。スペインでもシェフたちが「地産地消」「0km運動(レストランから100km圏内で素材をそろえて料理を提供しようというムーブメント)」と盛んに言い出したのもこの数年。フェラン・アドリアが牽引した前衛料理の世界も段々と勢力を失い、不況真っ只中な今、シンプルな生活とシンプルにおいしいものが求められている傾向。料理学会の盛んなスペインですが、「地産地消」のコンセプトが盛り上がったあとは、是非この「陰陽」を輸入したいですね~。

著者は西洋的な栄養学に限界を感じ、東洋の視点から栄養と食事を見直した人物。西洋的な栄養学は数字を見て病人を治そうとし、東洋は病気の前段階である体の不調「未病」の状態から病気にならないように未然に防ぐというコンセプトがあると説きます。「民族にとっての健康や、『種』としての強化と結びついていない」西洋的栄養学では、日本人の体はよくならない」と。「気候風土」という言葉を聴くと、いつも小学校の社会の時間を思い出し、「田舎」のない私はなんだか居心地の悪い気持ちがしていたのですが、まさにこの言葉こそ、食事にも密接に関わる大事なキーポイントなのかもしれません。

インドの人々は体を冷やすスパイスを含むカレーを食べることで体温を下げるし、ツンドラ地帯に住む人々は野菜がなくてもアザラシの肉食で体を陽性に保つ。「じゃ! 日本人でスペイン在住だと何食べたらいいいんですか!?」という質問を是非してみたいですが、確かに、長年住んでいると、たとえば肉とワインの相性がわかるようになったりとか、秋冬になるとジビエが食べたくなるとか(だっておでんは高級品)、夏にはふんだんなトマトでガスパチョがないと体がもたないとか、なんとなくこちらの「風土」を舌で覚えてくるものです。

著者は食材の陰陽に沿って見事に「鍋の中の小宇宙」を作り出します。あっぱれ!! 最初から最後までうんうんうんうん納得しながら読みました。あとは実践あるのみ。ちょっと難しそうだけどマニアックな料理好きには大推薦の1冊。


陰陽調和の調理法、鍋に入れる順番、その煮方が大事です

野菜の味噌汁でもこの豪華さ。滋味が深くなるような順番で鍋にいれてゆきます

ラタトゥユも陰陽料理風に改善

発熱には「豆腐パスタ」や「野菜枕」を。なんだかハリーポッターのおまじないのよう (C)梅崎和子/農文協