恋する(あるいは恋したことのある)乙女の必読書! 決して古びない初恋コミック

更新日:2012/4/3

小さな恋のものがたり (1)

ハード : PC/iPhone/iPad/WindowsPhone/Android 発売元 : 学研パブリッシング
ジャンル:コミック 購入元:eBookJapan
著者名:みつはしちかこ 価格:324円

※最新の価格はストアでご確認ください。

「私の片恋の思い出は、あの遠い、夕やけ色をしたびわの実のように、今もなお、心の奥にはほのかなあかりをともしていて、寂しいときや、つらいときなど、思いがけず、私に小さなほおえみを与えてくれます」

…胸きゅん! かわいい! なにこれ超ステキ!

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著者、みつはしちかこさんの1巻前書きです。淡く、かわいく、きゅんきゅんな恋模様を描いた初恋物語。手法は違うけれど、読後の印象は、今日マチ子さんの漫画や有川浩さんの小説などと近い気がします。

連載開始したのは1962年だそうで、なぜ20代の私が知っているかというと、小学生の頃、祖母の家で母の私物から見つけたんですね。思い出深いのは、当時通っていた教会で読んでいたとき、シスターが「あら、チッチとサリーじゃない!」と嬉しそうに声を上げたこと。母より年上のシスターたちが、一瞬、「女の子」の顔に戻った瞬間を見て、幼いながらになんだか感動してしまったのでした。

ちっちゃくて色気もなくて美人でも優等生でもない、だけどやきもちは人一倍、恋に一生懸命でまっすぐな女の子・「チッチ」と、背が高く勉強もスポーツもできて常に女の子にかこまれている男の子「サリー」。

チッチの猪突猛進な努力は、いつのまにか彼女を「その他大勢」から「たった一人の女の子」へと昇格させますが、サリーはいつでも余裕で、チッチはいつまでたっても片思いのような気分を味わうのです。

くだらないやきもちで相手を怒らせてしまったり、いつも自分からなのが悔しくて引いてみたら追いかけてきてくれなかったり、少しでもよく思われたくて背伸びしたのにからまわってしまったり。

そんないかにも「女の子」な気持ちとめんどくささ、かわいさが、ぎゅっと詰まったコミックです。まったく時代を感じさせないのが、すごい。

今はもう、コミックは祖母の家からもなくなってしまったので(いつのまにかなかった)、サイトで見つけたときはうれしかったです。なかなか手に入りづらい作品をぜひ、電子書籍で復活させていってほしいものです。

「その他大勢の一人」だったチッチと、サリーの最初の出会い

気持ちが大きすぎてから回ってばかりのチッチ

たあいもない喧嘩がほほえましい (C)みつはしちかこ/学研パブリッシング