おとぎ話のような世界が一転、生物の教科書に。絵本と知識の融合
更新日:2011/10/26
皆さま、虫や昆虫はお好きですか。
わたしは嫌いです。というか苦手です。こわいです。生物の生態って実はおもしろい、ということを知ってはいても、ビジュアルが無理、理科的説明が苦手、ということから避けて通ってきました。
そんな私に生まれて初めて「おおなるほど! 生物っておもしろいな!」と思わせてくれたのがこの作品、『ヌカカの結婚』。完全に絵本として楽しんでいたらじつは解説書だったという、非常に優れものの1冊です。
「その昔、男も女も子供を産んでいました。」という1行から始まるepisode01「男と女に」。自分そっくりの分身を生み出し続ける男と女のお話。
あるとき現れた絶世の美女に群がり求婚する男100人、女は「全員と結婚すると穴倉へ男たちを連れて行き…というちょっと怖そうな雰囲気のepisode06「100人の求婚者」。
他にも「イーピスのたくらみ」「入れ替わり夫婦」「命を賭けた結婚」「老婆の恋」などなど、興味をそそられるタイトルが13話も収録されています。とある村のおとぎ話かと思って読んでいると、結末を迎えたあとに浮かぶのは「解説」の文字。そう、それぞれのエピソードはすべて、生殖の説明だったというわけです。
わあ、けっこうグロい☆とか、なにこのちょっと感動的な展開は、とか、絵本部分の構成がうまいのでかなり引き込まれます。そしてなによりいいのは、解説部分にたどりつくまで、それがどの生物のお話なのかわからないこと。先入観なしで、まずは絵本をお話として楽しめるのです。しかも、朗読音声とBGMつき。これはおうちで楽しむのがいいと思います。子供に読み聞かせるのもいいかもしれない。
「ヌカカ」というのも、小さい蚊のような昆虫の名前。13話のうち、どれがヌカカなのか、楽しみに読んでみてください。ちなみに紹介した01と06は、私たちのごく当たり前に知っている話です。ですが、「こんなふうにアレンジするのか!」という驚きも楽しんでいただきたいので、あえてなにかは書きません。
ぜひぜひ音声つきでお楽しみください。
文字が少しずつうかびあがり、映像も動きます
母親が息子をうむと殺されてしまう「イーピス」。自分の飼い主が男の子をみごもったと知って…
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どれから読んでもOKなので、目次から気になるタイトルをチェック!
音声・BGM設定もできます。最初気づかず無音で読んでいましたが、これは音つきがよいです