人を愛することの切なさとは。北海道を舞台にした切なく温かい片想いの物語

祖母の営んでいた下宿“麒麟館”の管理人になることになった大学生の妙は、雪の中、道で倒れ込んでいた菊子を助ける。その菊子は、なんと妙がずっと片想いをしていた先輩の結婚相手であり、菊子はその先輩から逃れる為に家出をしていたのだ。そして二人は下宿人たちと一緒に麒麟館で共同生活をするようになる。

北海道という美しい土地を舞台に巻き起こる、切ない片想いだらけのラブストーリー。

『薔薇のために』という吉村明美さんが描いた、私が最高傑作だと思っている恋愛漫画があるのですが、その吉村さんが描いた昔の作品ということで読んでみました

吉村明美さんは“切ない恋心”を描かせたら右に出る少女漫画家はいないのでは…と彼女の作品を読みながらいつも思ってしまいます。それほどに、片想いをしている登場人物それぞれの台詞や表情が切なく、読んでいて胸が締め付けられます。

主人公の妙は菊子の夫である先輩を思い、麒麟館の下宿人の火野くんは、菊子が人妻だと知りながらも菊子に恋をしてしまう。そして、一度も恋をすることなく強引に結婚させられてしまった菊子は、人を愛せないことに悩みます。全員の想いがそれぞれ交錯する中、少しずつ彼らの関係は変化し、恋心も成長していくのです。

好きな人と両想いになるという事は本当に奇跡ですね。恋って…切ない！！

寒くて寂しい一人ぼっちの夜にはこちらを全巻一気読みしてみてはいかがでしょうか。温かい気持ちになれますよ。あと一緒に吉村明美さんの『薔薇のために』もぜひ。最高に泣けます！

雪の日の道の真ん中で、菊子と妙は運命的に出会った

恋というものが何なのかを知らない菊子

菊子に嫉妬する妙。そして片想いの辛さを呟く火野くん…

火野くんの切ない表情がなんとも言えません

先輩と妙の関係も少しずつ変化していく？

火野くんと菊子の関係がこれからどうなるのか目が離せません　（Ｃ）吉村明美／小学館