これを読めばあなたもきっと、明日への一歩を踏み出したくなる!――若き2人の女性の起業物語

更新日:2011/9/5

世界を変えるオシゴト

ハード : PC/iPhone/iPad 発売元 : 講談社
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:電子文庫パブリ
著者名:マリー・ソー 価格:1,296円

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「元気がわいてきた」――
  
ありきたりな表現ですが、「世界を変えるオシゴト」という本を読んだ私 “ぷりまべら”の素直な感想です。
  
温かみのあるニット製品、チベット族の人々のくったくのない笑顔、そんな写真がまず、目に入ってくるこの本の著者は、2人の若き女性社会起業家、マリー・ソー(起業時26歳)とキャロル・チャウ(同24歳)。本書で語られるのは、ハーバード大学ケネディスクールの同級生である彼女らが、「SHOKAY(ショーケイ)」というフェアトレードのニットブランドを立ち上げ、貧しい生活を強いられているチベット族の人々に現金収入の道をもたらすといったお話です。

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中国を舞台に、世界を良い方向へ変えていけるような“社会的なビジネス”を立ち上げたいという志を抱き、熱い思いを胸に、中国の村を訪れたマリーとキャロル。そこで彼女らは、チベット族に家畜として飼われている「ヤク」という牛科の動物を知るのです。ヤクの毛はカシミヤに勝るとも劣らない肌触り。彼女たちは、このヤクの毛を使って肌触り抜群のニットを製造・販売するビジネスを立ち上げ、チベット族の人々に安定した仕事と収入をもたらすしくみを作ったのです。
  
在学中にこのビジネスに着手した彼女らは、当然のことながら、さまざまな困難に遭遇します。しかし、2人はどんなことにもめげない。そして、常に前へ前へと進み、決して失敗を恐れないのです。
  
ショーケイは起業からわずか2年たらずで日本をはじめ世界13ヵ国に販売網をもつブランドに成長。マリーは2007年、『ニューズウィーク』誌の「世界を変える100人の社会起業家」に選ばれるといった具合に、成功を収めていくわけです。
  
若き起業家のサクセス・ストーリーとしてももちろん興味深い本書ですが、彼女たちのバイタリティーをストレートに感じることができるという点も魅力です。読み終わった後には、ちょっとだけ前より元気に、そして、前向きになれるかもしれませんよ。

自然の風合いを生かした12色のヤクの毛糸。リクエストした色と仕上がりの色が違っていたそうですが、あまりにもきれいなアースカラーだったため、そのまま商品化したそうです。「きれい」だと思ったら、しなやかにそれを受け入れる柔軟性は女性ならでは

2008年上海にオープンしたショーケイ1号店の前で微笑むマリー(左)とキャロル。まだまだあどけない笑顔が似合っています

今ではショーケイのニットの編み手としても大活躍のチベット族の女性たち。手に持っているのはショーケイのニット製品です