“趣味は佃煮”って??――大学教授がはまりにはまった珍味作りを披露
更新日:2012/3/7
「得意料理は?」と今度聞かれたときには、「佃煮です!」と答えてみようかなぁ。
そんなことを、ふと考えてみました。なんか、変化球っぽくて、よくないですか?
佃煮も作っちゃうんだから、すごく料理好きand料理上手、と好印象になるか、もしくは、ちょっと変った女子と思われるか、その辺はわかりませんが…。
なぜこんなことを考えたかと申しますと、「趣味は佃煮」というユニークな本を読んだからです。著者はロシア語を専門とする小町文雄教授。自称無趣味だった教授はふとしたことから、佃煮作りを始めます。そして作った“作品”を同僚の教授や秘書の方などに披露すると、
「みごとなものです」
「まぁ、これ、先生がお作りになったんですか、まぁ」
「深いお味!」
と、先生をやる気にさせるコメントが返ってくるのです。気を良くした先生は、佃煮作りを趣味とし、「よろず珍味製作」を行う「小町萬味工房」が誕生したというわけです。
小町先生が作るのは、アサリの佃煮、綿松梅(めんしょうばい:あの有名な錦松梅<きんしょうばい>に似せたもの)、わさび漬け、からすみ、ロースハム、スモークサーモンなど。「わざ手間」度高めと先生が語るように、手間がかかるわりには味がいまいちというものも、なかにはありますが、「これが手作り?」と、素人が作ったとは思えないほど良いお味の“作品”もあるようです。
タラコで作るカラスミ(=からすみもどき)なんて、おいしそうじゃないですか? すっかり感化されてしまった私“ぷりまべら”は、からすみもどきを作って、酒飲みの友人にプレゼントしようかと画策中。
ちなみに、料理作りに、ましてや佃煮作りに興味ない方でも、この本、楽しめます。小町先生、かなり面白い先生でして、ちょっとしたエピソードにクスリと笑えますよ。
江戸前アサリ佃煮、綿松梅、紅小町、わさび漬け…と珍味が並ぶ目次です。珍味を作ってみたいという方は、巻末の「萬味レシピ」をご覧ください。著者は、プロではないのだからと、レシピをつけるのに最初は抵抗したそうです
珍味作りの楽しみは、お裾分けできることにもあるという小町教授。「ほんのちょっとだが、人生観も変わるかもしれません」とまでいうのですから、これは試してみるべきですね