心静かに、でも明るくやさしい気持ちになりたいときに。手書き文字とイラストに癒される短歌集
更新日:2012/2/1
詩とか短歌とか素敵にたしなめる女子になりたいなーと思い続けて20うん年が経ちますが、いまだに野望は達成されておりません。ごくごくたまにピンポイントで衝撃を受けることはありますが、そもそも手を出さないので(どーせ感性が澄んでねえよとふてくされるだけなのでね)、出会いの成功率を下げている模様。
さてそんな私ですが、ここ1ヶ月ほどどうも小説を読む気になれず、「あれ? もしかして今、頃合いなんじゃね?」とエッセイやら詩集やらを探っていたところ見つけましたのが、桝野浩一さんの短歌集。
やー、なんか癒された!
App Storeでなんだか表紙のかわいらしい印象についつい惹かれて購入したのですが、これね、まず装丁がとてもよいのですよ。すべて手書き文字、イラストつき、ということのみならず、スクロールは下へ下へと行くシステム。しかもページごとにめくっていくのではなくて、どんどん下部へ降りていくしくみ。
ゆるゆる、するする、降りていく過程はとてもふわっとしていて、道をただただ行きすぎていく感じなんですけども、ほらたまに、「おっ?」て足を止めて広告みたりショーウィンドーみたりするじゃないですか、それと似ていて、ついつい戻ってもう一度読み直す、みたいなことを何度もいたしました。
<「好きでした」過去形ですねそうですか それでも伝えたいことでした?>
<色恋の成就しなさにくらべれば 仕事は終わる やりさえすれば>
<死にたいが生まれ変わって今よりも駄目な男になったら困る>
ぷっと笑うものから、ああそうだよねーとしみじみするものまで彩り豊かで、哀しいもののなかにもどこかユーモアさがあって明るい気持ちになれるというか。でもそのあたたかみってたぶんこの、手書き文字が生み出してるものだともおもうのですよね。なんとなくいま、「心を静かにしていたい」自分の時期にぴったりだったんだなーとか思いながらお気に入りの短歌を反芻しております。
こういう電子書籍ならではの作品に出会うととってもうれしくなります。ちなみにこれを読む以前に読んでいたのは『平山夢明と京極夏彦のバッカみたい、読んでランナイ!』で、ラジオを活字にするという本でこれも「ならでは」というかなんというか、ただラジオを活字にしただけでない付加価値がたくさんあってとても楽しく爆笑ものだったのでした。あれ、全然関係ないですね。
こんなふうに上から下へと続いていきます
イラストもかわいいですよね
文字のおき方もいろいろ工夫が