大胆な解釈に喝采! 敷居の高い古典文学は恋愛と性愛に満ちためくるめく桃色世界

更新日:2011/9/12

快楽でよみとく古典文学

ハード : iPhone/iPad 発売元 : SHOGAKUKAN INC.
ジャンル: 購入元:AppStore
著者名: 価格:600円

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「快楽でよみとく…」というタイトルに、いわば春画のような、かなり淫らな内容を想像しながらダウンロードしたのだが、良い意味で裏切られた。
  
確かに堅苦しい古典文学の解釈とは違って、古典を恋愛とセックスでおもしろおかしく解釈しまくった本なのだが、時代背景や風俗もきちんと抑えられていて、貴族にとって「性」は「政」であり、「生」そのものであったことがよくわかる。

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親近感の湧く楽しい文章にぐいぐいと引き込まれ、「なるほど、古典である女を『見たい』といえば、セックスしたいってことだったのね」とか、「眉を掻くのは、万葉時代、恋しい人に会えるおまじないだったんだ」とか、官能をくすぐられるよりも、眠っていた知的好奇心を久々にくすぐられた私である。
  
おもしろかったのは、「近まさり」という印象深い用語。源氏物語で明石の君と初めて閨を共にした源氏も口にしている。これは読んで字のごとく、近づいてみたら、より優っていたということで、著者いわく、間近で顔を見て、肌に触れ、語り合ってみたら、思っていたより魅力的だった…という文脈が多いそう。
  
一度でいいから、言われてみたいな、「近まさり」♪
  
学生時代にこんなおもしろい本に出会っていれば、古典が大好きになれたのになあ。

章ごとに内容を象徴する挿絵がはさまれているのも楽しい

しかも、この絵、パラッと変わるんです、ほら。電子書籍ならではの仕掛けですね

「古事記」「古今著聞集」「日本霊異記」に出てくる逸話を紹介したコラムもおもしろい。もちろん下ネタ満開です