人生の大先輩!! 80年間働き続けたパワフルウーマンの珠玉のメッセージ集

更新日:2011/9/8

なぜ、はたらくのか

ハード : PC/iPhone/iPad 発売元 : 主婦の友社
ジャンル: 購入元:電子文庫パブリ
著者名:加藤寿賀 価格:864円

※最新の価格はストアでご確認ください。

「はたらく」とは「端を楽させる」ことと、私“ぷりまべら”が教えられたのは10ウン年前、まだピチピチの新入社員だった頃。当時は、目の前の仕事をこなすのに精一杯で、その言葉を理解しようとする余裕すらなかったのですが、さすがにアラフォーともなれば、「なるほどなぁ」とその言葉の奥深さに納得。とはいえ、今でも「はたらくこと」について考えてしまうことが時々あります。
  
というわけで、今回読んでみましたのは、「なぜ、はたらくのか」というタイトルの本です。

advertisement

なんと、著者は80年間も理容師として働いたパワフルウーマン・加藤寿賀さん。東京・新橋のガード下の理髪店「バーバーホマレ」で、亡くなる数ヶ月前までハサミを持ち続けた人物です。
  
15歳で理容の道に入り、厳しい修行に耐えた加藤さん。同業者と結婚し、2人で店を持ち、つかの間の幸せを味わうのですが、夫を戦争に取られてしまいます。やっと戦争が終わったかと思うと、戦後まもなく夫は事故死。2人の娘を持つシングルマザーとなった彼女は、ひたすら働き続けるのです。理容師として働きながら、夜は闇商売、そして古着の商いをし…と「人の3倍は働いた」そうです。辛いことは、数知れずあったことでしょう。しかし、加藤さんは「生かされている」ことに感謝し、必死に働き、人生に喜びを見いだすのです。「愚痴をこぼすことは、身の徳をこぼすこと。もらったものは、こぼしちゃもったいない」というのですから、不平不満なんて、決して言いません。
  
本書では、働くということ、戦争、日本人が忘れた心、生きる喜びなどが語れます。ともするとお説教っぽくなりがちなメッセージなのですが、加藤さんの言葉には、不思議と素直に耳を傾けることができます。80年間も働き続けてきた人生の大先輩。それも、本人が精一杯生き、人生に楽しみを見いだしてきたからでしょうか。どのメッセージも説得力があるんです。
  
私の祖父母はすでに他界しているのですが、本書を読んでいると、まるで今は亡き祖父母に「がんばれよ~、人生は楽しいんだから」と励まされているような気がして、なんだか元気がわいてきました。是非、みなさんにもご一読いただきたい一冊です。

理髪店「バーバーホマレ」の加藤寿賀さん。穏やかな笑顔がすてきですが、その裏にものすごいパワーが秘められているのです

六坪の小さなお店は、昔ながらの理髪店

「ひと目見ただけでどんな髪型にしたらいいか分かります」という加藤さん。プロ中のプロですね

「バーバーホマレ」には料金表はありません。「生活が厳しい人から正規料金はもらえませんから」と加藤さん

新橋のガード下にあるお店の2階は、加藤さんのお住まい。ここで2人の娘さんを育てあげたそうです