失恋、失業…崖っぷちアラサー手前女の魂の叫び! ハマる読者続出の『波よ聞いてくれ』

波よ聞いてくれ

ハード : 発売元 : 講談社
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 飲み屋で自分の失恋話を知り合ったばかりの男に聞かせる主人公の鼓田ミナレ。翌日、ミナレの職場のカレー屋から流れてきたラジオは、録音された昨夜のミナレの失恋話だった。慌ててラジオ局に行ったミナレを待っていたのは、昨晩知り合った男・麻藤。彼はラジオディレクターで、ミナレに「ラジオDJにならないか」と持ちかける。仕事に恋愛、全てがうまく行っていなかったアラサー一歩手前女ミナレの人生が、北海道のラジオ局を舞台に目まぐるしく変化していく。

 ラジオというのは、昔からずっと変わらない形態で、かつ多くの人に愛されている媒体の一つ。ラジオ番組はぐっと低予算なはずなのに、そこらへんのテレビ番組よりおもしろいことがあるから侮れない。ラジオディレクターの麻藤は、あるラジオ番組に魅せられてテレビ業界から移ってきた男。ミナレの声に魅力を感じ、ラジオで「世界を獲ろう」と恥ずかしげもなく言っちゃう彼は、なんだか憎めないキャラクターだ。地方ラジオ業界のシビアな裏側も読め、ラジオファンとしてはかなり興味深い作品だ。

 ラジオ局の裏側はもちろん、ミナレの女としての日常も大変おもしろく、かつリアルに描かれている。80万あった預金のうちの50万を元彼に騙し取られ、挙句の果てに仕事先のカレー屋をクビになるミナレ。ミナレは、「男運の尽きた私なら反比例的に仕事運が…」と泣き、鏡リュウジ先生に助けを求め、貯金の残高を計算しつつ「除雪車が一晩中走ってくれる札幌にいたい」と、実家(釧路)に引っ込んでしまった未来の自分を想像しては悶え苦しむ。こんな彼女の姿に、かつて(現在?)の自分を重ねてしまう女性読者はきっと多いはずだ。

 酒に溺れては泣くミナレだが、彼女実はかなり「強い女」である。映画を見て散々泣いた後は、ケロっとして出勤できる。好きでもない男の家に転がりこむことなどはもちろんしない。カレー屋の仕事にもそこそこ誇りを持っているし、実はかなりの頑張り屋だ。年下男に「別にやりたい事があるわけじゃないでしょ?」と酷い言葉を吐かれようとも、返す言葉はないにせよ、ミナレは屈せず前に進む。そして彼女の不遇な環境から生まれた毒舌まじりの軽快な喋りに、作中のリスナーだけでなく、読者も魅了されていくのだ。人生行き詰ることはあるけれど、ミナレのように強く激しく生きていこう。そんな風にまで思わせてくれる作品なのだ。


この出会いが全ての始まり

映画で散々泣いた後は、ケロっと出勤です

ラジオから聞こえてくるのは自分の声

はめられたような形でラジオの世界へ飛び込む

ラジオのお仕事とは?



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