コミックの域を超越したSF超大作・星野之宣の描くジュラ紀・恐竜世界

公開日:2011/11/25

ブルー・ワールド (1)

ハード : PC/iPhone/iPad/Android 発売元 : 講談社
ジャンル:コミック 購入元:eBookJapan
著者名:星野之宣 価格:540円

※最新の価格はストアでご確認ください。

星野之宣という偉大な才能を世に知らしめた、スケールの大きいSF超大作。
この作品の前に「ブルーホール」という序章作があり、こちらはその続編に当たる。

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海底洞窟、「ブルーホール」。
大隕石衝突で地球上に複数生成されたとされるこの洞窟は、地磁気の影響で時空が歪み、古代と現代を結ぶある種のタイムトンネルとなる。ネッシーが目撃されたスコットランドのネス湖、古代魚・シーラカンスの泳ぐ姿が観察できるマダガスカル海域などもブルーホールの近接地域。本作「ブルー・ワールド」では、ネス湖のブルーホールから繋がるジュラ紀世界を舞台に、”極限状況での人間ドラマ”が繰り広げられる。この作品に登場する主な恐竜は、アロサウルス・バロサウルス・ユタラプトル。そして「七面鳥」と呼ばれる翼竜・ランフォリンクスが大きなポイントで、終盤には重要なアイテムと化す。

練りに練られたストーリーに加え、さすがと言うしかない圧倒的な画力。特に恐竜関連のディテールが細かい書き込みぶりは迫力満点で、映画を観ているような気分になる。同時期に発表されたマイケル・クライトンの名作、「ジュラシック・パーク」とは違ったアプローチで科学的に恐竜たちの世界が描かれているところも重要で、まやかしや誤魔化しの匂いが一切感じられない。繰り返し読んでも飽きない、極上のSF作品である。

この作品がiPhone/iPadで読める、という事実は非常に嬉しいのだけど、やはり序章に当たる「ブルーホール」も一緒に電子書籍化するべき。セットで読めばさらにハマれるし、さらにドキドキできるはず。早期のリリースを期待します!

迫力満点のカラーページ、各巻の巻頭に収録

科学的な設定に一切の手抜きなし! 会議シーンも説得力抜群

翼竜・ランフォリンクスは後半のキーとなる恐竜、リアルな気持ち悪さが抜群

ジュラ紀の主役・肉食恐竜アロサウルス、ティラノサウルス・レックスに酷似した凶暴な王

カミナリ竜・パロサウルスの群れは圧倒的な迫力

遺体を襲う巨大ヒル、この手の残酷シーンが手抜きなくリアルに描かれている (C)星野之宣/講談社