本土決戦はやめましょう。敗れて勝つために本土決算です
公開日:2011/12/8
本土決算 よみがえる日本
ハード : PC/iPhone/iPad/WindowsPhone/Android | 発売元 : 祥伝社 |
ジャンル:コミック | 購入元:eBookJapan |
著者名:志野靖史 | 価格:500円 |
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「内閣総理大臣織田信長」を描いた志野靖史の政治漫画。
戦後のポツダム宣言受諾から、憲法改正、講和独立、保守合同、安保闘争、高度成長、学園紛争、列島改造を実在の政治家を登場させ、笑いとユーモアで戦後の日本を描いた架空戦後史である。
劇中での「本土決算」とは内閣総理大臣 鈴木貫太郎が提案した構想である。兵力においてアメリカに負け続けているため、日本の滅亡を回避するには「本土決戦」ではなく、国民が一丸となって働き、「本土決算」を実行するべきだという。本土決算とは残された日本領土で日本民族の総力を結集し、経済復興、発展を遂げ、再び日本を栄光ある世界的地位に回帰させようとする構想なのである。そしていつか必ず、日本の経済力を総決算し、アメリカと連合国を圧倒するという遠大な野望でもあった。
そして戦後、史実通り日本は経済大国の仲間入りをする。石油ショックを経て、日本企業は猛烈な勢いで、円高で割安感のある米国資産への直接投資をはじめる。有名な米銀行、映画会社など日本は米国の資産を買い取りはじめたのである。その様は鈴木貫太郎の唱えた本土決算に、日本は勝利したかのように見える。
だが日本人の精神はどうなったのか? 劇中である少女は祖父に質問をする。
「日本とアメリカは戦争したことがあったの?」
少女の質問に祖父は愕然。結局、歴史に興味を持たない日本人を生んでしまっていたのである。これはジョークだとしか思えない悲劇的結末である。
この物語では、全編コミカルでシニカルなのだが、日本の経済政策を対米徹底抗戦に例えて描いている。だがやはり抵抗という形でしかなかったのだ。現在の日米の経済状況を見てみれば、その抵抗が長続きしなかったことは明らかであろう。その様子はまさに日米開戦時と同じようだと思えてならない。
日本の敗戦。それが全てのはじまり
宣言、本土決算をいたしませう
諸相で詳しく解説されている。あくまでコミカルに
日本の経済政策、米国対策
だが見る人にとっては、皇軍の攻略とだぶって見えてしまう
日本で戦争があったのと質問
子どもにしてみれば、やはりおどろきでしかない (C)志野靖史/祥伝社