転校生がダーク&クールな世界で高校間闘争に身を投じるバイオレンス小説

小説・エッセイ

公開日:2011/12/14

魔人学園

ハード : PC/iPhone/iPad/Android 発売元 : 講談社
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:eBookJapan
著者名:菊地秀行 価格:486円

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「菊地秀行といえばバイオレンスとエロス」といわれるくらいで、危険なにおいのする作品が多いですが、本作は、そんな氏が生み出すバイオレンス(たまにエロス)小説のなかでも、屈指の名作です。

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箱根を境にして、東西に勢力がわかれた日本。魔物が暗躍したり妖術が飛び交ったりする舞台で、武闘派の高校生たちが「西」と「東」にわかれて激しい闘争を繰り広げます。そんななか、「西」の侵攻が熾烈を極める状況で、トーキョーのある高校にやってきた“特別な”転校生が、用心棒として「西」を迎え討つー

作中には、かなり過激な描写や表現が頻出します。「グロ」といえる部分もありますが、それが、殺伐としたダークかつクールな世界観を際立たせていて、読者を危険な世界へと引き込みます。

ところで、ミステリアスな転校生って、どこか魅力的ですよね。個人的には、どこか正体不明の不思議な転校生というと、宮沢賢治の『風の又三郎』をイメージしてしまうのですが。やはり又三郎にしても魅力的です。

どうして、こうも転校生が注目を集める存在になり得るのでしょうか。

一つ考えられるのは、転校生が「よそから来た存在だから」です。
「それは当然だろう」と思われるでしょう。しかし、「よそから来た」ということは、つまり、よそから異文化を持ち込んできた存在、ということなんですね。

学校生活においては、外部から人間が交じ入ることが少なく、決まった人間関係で生活を送ります。そんな状況で、まるでシルクロードをやってきた異文化人がごとく、新しい文化や空気を自分が過ごす環境に持ち込み、さらには閉じられた人間関係に変化を起こすとなれば、誰しも注目せざるを得ないのだって納得できます。

本作の転校生は、いったい何者で、どのような活躍を見せるのか。
確かめてみてください。

「西からの侵攻」で、緊張感とともに物語の幕が上がる

バイオレンスで過激な世界観

細かく作りこまれた描写と設定 (C)Hideyuki Kikuchi 1988