いきいきと「その人自身」を描き出したAV女優たちへのインタビュー集
公開日:2011/12/15
AV女優
ハード : PC/iPhone/iPad/WindowsPhone/Android | 発売元 : 文藝春秋 |
ジャンル:ビジネス・社会・経済 | 購入元:eBookJapan |
著者名:永沢光雄 | 価格:630円 |
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タイトルどおりAV女優さんのインタビュー集であります。
そう聞くとやっぱりふつうは、なんか風俗的なというか、性的な刺激を目的とした、ことさらにエッチな「アサヒ芸能」的なというか、サイズは何センチですかってのっけに聞いちゃうようなものを連想するわけで。
でもこの本初版が1996年なんです、実は。でそれが2003年に文庫化されて、今日までまだ生き残っている。この命の長さは、本書が下半身的な興味で成立しているものであることを否定しますね。だって登場している女優さんのビデオがもう見られなくなっているのに、引き続き読まれているってことですから。
つまり、簡単にいっちゃえばこの本は、AV女優にインタビューしたというより、インタビューした相手がたまたま全部AV女優だった、そういう性格の書物なんです。
ですけど、AV女優って会社の事務職とか一般のビジネス・ガールとかとはやっぱりちょっと違ういわば専門職なわけで、職種独特のならではのさまざま事情が女優さんの人生に少なからぬ光と影を投げかけるんでありますな。
そう、ここにはAV女優という職業に就いたひとりひとりの女性の生き方がその過去も現在も含めて、実にいきいきと描き出されているのです。それは何ともいとおしく、可愛らしく、時には荒々しく、そして痛ましく、家族とのけったいな風景はたいへん目立ち、ある時は傷ついた子供のごとき風情で、誌面に浮かび上がってきます。
つまりこういうことです。とても人ごとじゃない。
感動的な本です。
96年当時のそうそうたるメンバーが顔をそろえている
営業用でない素直な語りが心地よい
風吹あんなへのインタビューから。本当にたくさんの幸福や不幸せの過去を背負った女優たちが、それぞれに生きている
たとえば冬木あずさからは、広島生まれの腕白嬢という気配が漂ってきていとおしい (C)Mitsuo Nagasawa 2003