全人類必読!!! 傑作パラサイト作品「寄生獣」

更新日:2011/12/21

寄生獣 (1)

ハード : PC/iPhone/iPad/Android 発売元 : 講談社
ジャンル:コミック 購入元:eBookJapan
著者名:岩明均 価格:540円

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岩明均の傑作SF長編。eBookJapanがこのコミックに付けたキャッチコピーが実に秀逸。
「全人類必読!!!」 …その通り、人類であるのなら一度は読んでおくべき作品。

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ある夜、空から降ってきた多数の正体不明の生物。その生物は人間の脳に寄生して全身を支配してしまう。彼らの本能に下された命令は、『この「種」を食い殺せ』。脳の乗っ取りに成功した生物は、「食事」と称した行動で次々と人間を襲う。

本編の主人公、高校生の泉新一もこの生物に脳を狙われた一人。すんでの所で脳への乗っ取りを回避した新一だが、生物はそのまま新一の右手に寄生。自らを”ミギー”と名乗り、新一と奇妙な共同生活を開始する。人間の脳が残ったままのミギーの姿に嫌悪を抱く他の寄生人間たちは、ミギーと想像を遙かに超えるこの世のモノとは思えない闘いを繰り広げる。もちろん新一もその渦に巻き込まれていく。

いわゆる“パラサイトもの”と呼ばれる作品は、瀬名秀明の小説で映画化もなされた「パラサイト・イブ」や、アメリカ映画の「The Faculty(邦題:パラサイト)」「Species X」など多々ある。しかし、この「寄生獣」は、そのどれよりも斬新で卓越した発想を有し、更にグロテスクで、しかも切なくなるほど深い。作品自体の持つポテンシャルは完全に他の作品を上回る。言うなれば”調子に乗った人類に対する問題提起”であり、読みこめば読みこむほどに「人間」とその「立ち位置」について考えさせられる。このへんはあまりに哲学的で、間違っても読み飛ばせるタイプの単純なマンガではない。

岩明均の絵は、どちらかと言えばアクやクセのない平坦なイメージが強い。ただこの作品における怒りに震える新一の表情や、何より寄生人間たちのゾッとするような恐ろしさが一層際立つ強烈で独特な画風で、読んでいて身震いしてしまうほど。怖いだけでなく、どことなくユーモラスなミギーの台詞や仕草、そして戦闘シーンのスピード感は圧巻であまりにリアル。ある種特異な作品世界にピタリとハマっているのが凄い。

「寄生獣」、世界のマンガ史に残ること間違い無しの傑作。
冒頭のキャッチを今一度。“全人類必読!!!”

今回は新兵器・Galaxy Tabにて、Android端末にもちゃんと専用ビューワーがあるのがうれしい

見開き表示はやや小さめ、左右に若干の余白が出てしまうのが残念

Galaxy Tabでの縦表示、新書版のコミックを読んでいる感覚で読みやすい!

スピード感抜群の戦闘シーン、たった一コマで激しすぎる闘いを表現しきっているのが見事

冷淡で残忍なもう一人(?)の主人公・ミギー、しかしどことなくユーモラスで可愛い