なんにも“モッテナイ”…でも強くタクマシク生きられるっ!

公開日:2012/1/6

僕といっしょ (1)

ハード : PC/iPhone/iPad/Android 発売元 : 講談社
ジャンル:コミック 購入元:eBookJapan
著者名:古谷実 価格:540円

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みなさん、お早うございますコンニチハ今晩は。古谷実作品がiPad内に増えていくのが嬉しい中國卓郎です。

「僕といっしょ」は古谷さんの二作目の連載作品であり、つまり「行け! 稲中卓球部」の次の作品であります。そしてこの後に続く「グリーンヒル」までの3作が純粋なるギャグ漫画で、その後の「ヒミズ」からは暗黒な陰鬱的ダークサイド哲学漫画(勝手に命名)へと変貌を遂げていく訳ですが…それはともかく本書「僕といっしょ」です!

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古谷実ギャグ漫画中期に位置していながら、後期「グリーンヒル」よりも実はシニカルで重かったりするのですが…と、いうのも主人公達は親なしの家出少年なのです。野球の経験も才能もないのに「オレはグローブに一度も手を通さずプロになるんだ。」と言い切るDH志望の先坂すぐ夫(と弟のいく夫)、シンナーが友達(だった)イトキン。「家なき子」になりながらも、彼らはビックリするほど図太くタクマシク生きてます。

周囲の人物達も個性的…否っ! そんな生ヌルいもんじゃなくキテマス! エグいです! 大学受験八浪の男、妹(女子高生)にガチで恋した家事手伝い、売春しているストーカーの16歳少女などなど、そこらじゅうに「…うわぁ」ってなキャラが散りばめられており、何処か心にザラっとした感触が残るのです。しかしこのザラっとしたモノをすぐ夫やイトキンが問答無用に、時に理不尽な力技で洗い流してくれる快感、それこそが本書の醍醐味であり作者の真骨頂でありましょう。

もう本当に駄目でどうしようもない奴等なのに、そんな事はお構いなしで堂々と生きている姿を見て「こいつらに比べりゃ俺なんかまだまだ。でもまぁチョットだけ頑張るか」なんて思わせてくれる…というか、そういう気持ちで読む事をオススメしたい作品です。だって真正面から読んじゃうと下手したら「うわぁ…。」って感想で終わりかねないですし(笑)あまりにもそれはモッタイナイ事だと思う訳です。

あ、そうそう! モチロン今回も「モテナイ男に可愛い女の子が惚れる」的なオヤクソク&オイロケは完備されてますから、その辺の心配も御無用ですぜ!

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雰囲気あり過ぎな(本編に関係ない)扉絵も古谷作品の楽しみのひとつ (C)古谷実/講談社