AKB48のプロデューサーが語る、事務職でも、営業でも発揮できる企画力とは?
公開日:2012/1/10
自分には秀でた能力がないと感じているビジネスパーソンにとって、この本はチャンスを見つけるヒントの塊といえるでしょう。ふとけんにとって、秋元康氏の最初の強いインパクトは、『夕やけニャンニャン』のおニャン子クラブの仕掛け人としての存在でした。岡山の県立高校を卒業し、大学入学で上京したウブな若者が、東京のテレビ番組のパンチを食らい、頭をバットで殴られるようなショックを受けたのです。
当時は高校やPTAなどを巻き込んで賛否両論が割れ、また芸能界のアイドル地図を塗り替えるほどの大きなインパクトがある企画でした。あれから25年以上経過した今なお、AKB48を世の中に送り出せる秋元氏の企画力には多くのビジネスパーソンが脱帽していることでしょう。その企画力の源泉に迫るのが、本書です。カギとなるのは秋元氏の「企画観」。それを端的に言っている言葉が、たくさん、何度も登場します。たとえて挙げると、以下のような文言や内容が登場してきます。
■マーケティングや調査はしない
■自分が面白いと思ったことが正解
■日常的にさまざまな気付きをリュックサックに入れて、必要な時に取り出すという作業
■自分が「おや?」と思ったことに対して、心の中で、どんどん付箋をつける作業から始まる
■企画の入り口は、他人の意見よりも、まず自分が面白いと思うかどうか。「自分が正解だ」と思うことが一番大切
■「自分の面白いと思ったものは、他人が否定することはできない」
■企画というものは、生み出すものではなくて、気づくこと
■記憶に残る幕の内弁当はない! 人の記憶って、そういう「何か」がないと残らない
■1行日記。毎日1行書きたくなるような、何を見ているのかを意識する練習になる。そうやっているとだんだん変化が出てくる
■予定調和を壊すということは、新しいことに挑戦するということ
■最初に決めたことにしがみつくことなく、その場でいい方をとっていく
■見切り発車でもいいから、とにかく、どちらかにまず走ってみる。それから臨機応変に軌道修正すればいい
と、いうような調子で。「それができれば苦労はしないんだよ」という意見も聞こえてきそうですが、秋元氏の挙げる具体例を読んでいると、インスパイアされてくるものも不思議なものです。
冒頭に、OLさんがお茶を出すときやタクシーの運転手さんの企画力の発揮の仕方などが、具体的に語られていますので、仕事に面白さを求めたい人には、必読の一冊です。
本書はNHKで放送された番組に、インタビューの未放映部分が加筆されています。また勝間和代氏とのユニークな組み合わせの対談が4編も掲載されており、番組を見ていない方でも満足できる内容になっているのです
本書には仕事のシーンなどの写真&写真説明も収められていて、イメージが湧きやすくなっています。企画に関連する仕事をやりたい人は、絶対一読の価値ありだと思います
さりげなく、ではありますが、太字になっていて強調されている箇所が本書にはたくさんあります。これを集めると「秋元康語録」に。うなずく言葉もたくさんあって、「なるほ度」は最高点になりました
目次の一覧から、読みたい見出し箇所に飛べる機能が便利です。前から通し読みするだけでなく、秋元康氏と勝間和代氏との対談だけ先に読んでみるなど、いろいろな読み方が楽しめます