中上級者向けの経済解説として、踏み込んで世の中の動きを理解したい方にオススメ

公開日:2012/1/18

日本経済の奇妙な常識

ハード : PC/iPhone/iPad 発売元 : 講談社
ジャンル: 購入元:電子文庫パブリ
著者名:吉本佳生 価格:648円

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ギリシャに始まり、飛び火しそうな気配の欧州危機。日本も狙い撃ちにされるので!? という危機感が高まっています。またわが国では消費税の段階的増税を目指す動きが加速し、大きな議論になりそうな気配です。

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これらの一連の政治と経済の問題やつながりを正しく理解しようとすると、国際社会における経済や貿易の仕組みに対する一定の理解が不可欠です。本書は仕組みの解説書ではありませんが、新聞やニュースをキャッチアップしていくのにサポートしてくれる内容が詰まっています。

ただ、本書の特徴としては、よくありがちな退屈さはなく、刺激的なタイトルと内容で飽きさせない編集になっていて、難しくわかりにくいテーマを読ませる編集者と著者の腕に感服するばかりです。全体は4章立てですが、それぞれの章タイトルは、

 第1章 アメリカ国債の謎(コナンドラム)
 第2章 資源価格高騰と日本の賃金デフレ
 第3章 暴落とリスクの金融経済学
 第4章 円高対策という名の通貨戦争
 第5章 財源を考える―消費税の段階的増税vsデリバティブ国債

となっていて、ひと言でいうと、生きた今の経済問題を素材にした解説書なのです。
ちなみにふとけんは証券アナリストの試験勉強をした際に、経済も自力で勉強しましたが、当時本書に近い内容の本に出会っていれば、かなりスムーズに理解できたのではないかと思える、秀逸な内容だと思います。そして、

 ■アメリカ国外でアメリカ国債を最も多く保有している国とその割合は?
 ■経常収支と財政収支の違いはどう説明する?
 ■日本社会の構造が劇的に変化し始めた年は?

こういったことにスイスイ答えられるようになることで、世の中の経済的出来事への造詣が深まることは間違いありません!

筆者はあとがきで、「長く続くデフレ不況のもとで、いつのまにか定着してしまった「奇妙な常識」が、日本経済をより立ち直りにくい体質に変えているのではないかと危惧」し、本書を執筆したと語っています。奇妙さにどれだけ気づけるでしょうか。誌面を軽く上または下になぞると、メニュー画面(全部で5種類)が登場します。上の帯に表示されているこの画面で選べるのは、縦書き・横書き、文字の拡大・縮小です

アメリカ国債を「世界景気の維持装置の中核部品」と位置付けて図解するあたりは、筆者の考え方がよく理解できる本書の特徴といえるでしょう。図を交えた解説もわかりやすくなっています。このページの上の帯に表示されているこの画面では、ページをフレキシブルに進めたり戻したりする機能が使えます

あえて「奇妙な経済常識20」を挙げて、まったく異なる結論に置き換えることを狙うあたりも、単なる解説本とは一線を画す筆者の意図が大きく反映されていて、メッセージ性の高い解説が特徴です。このページの上の帯に表示されているこの画面では、画面の明るさの調節、目次の表示、そしてメニューの使い方の参照ができるようになっています

本書は電子文庫パブリで購入できますが、無料立ち読みが配信されていますので、活用しましょう。立ち読みでは目次をフルに見ることができますので、全体の内容を確認してから購入するのもよいと思います。このページの上の帯に表示されているこの画面では、気になる用語の本書内検索が可能で、その用語が使われているページを示してくれます