作家の日常はかくも愉快!? 悲喜こもごもの話が軽妙な筆致でつづられるエッセイ集
公開日:2012/1/19
JALの機内誌に連載中の浅田次郎さんのエッセイの単行本化第二弾となる「アイム・ファイン!」。第一弾の「つばさよつばさ」を堪能した私は、「アイム・ファイン!」を電子書籍のサイトで見つけ、早速、ダウンロードしてみました。
本書には、機内誌に掲載された浅田次郎さんの諸玉のエッセイ40本が収められてます。この手の本は、空いている時間にちょこちょこ読むというのが好きなのですが、あまりにもおもしろく、ついつい一気に読んでしまい、読み終えたときには、「あー、もっと次のエッセイも読みたい」と思ってしまいました。
前作も笑える箇所あり、お勉強になるところあり、旅情を味わえるところあり、浅田次郎さんの日常を垣間見れる箇所あり、と盛りだくさんでしたが、本作は、さらに爆笑できる箇所が増え、私は深夜、部屋で一人で大笑いしてしまったほどです。
史上最高傑作を運転中に思いついた直後にあるアクシデントが起きる「すばらしい話」。思わぬ体重増加におののき、一日一万歩を目安に歩き始めたはいいが数日後に悲しい事態に直面する「歩兵の本領」。著者はなんと、かつて陸上自衛官「歩兵」をつとめていたそうです。編集者と取材旅行で訪れた鹿児島で、鹿児島名物のカキ氷「しろくま」をなんとしても食べたいと切に願う様子をつづった「しろくま綺譚」。立ち食いソバが無性に食べたくなり、綿密な計画を立てて家を出るも、計画はあえなく頓挫し、空腹のまま東横線の車内で目を疑う光景にでくわす「物を食う人」…と、悲喜こもごもの話が、浅田次郎さんならではの筆致でつづられます。
この続きのエッセーは、続編の単行本化を待つ以外、機内誌を読むしかないというのがちょっと切なくなるほど、楽しめる1冊。浅田次郎ファンの方はもちろん、そうでない方にもおすすめです。
私のように、最初から一気読みしても、また気になるタイトルのエッセイから読んでみるのもいいですね。「トイレの福音」なんてタイトル、おもしろそうです
「書斎症候群」というネーミングがいいですね。午前中は執筆と資料読み、午後は純然たる読書と、著者は半日を書斎で過ごしているそうです