恐怖と哀しみと切なさに、とにかく泣きたくなる。ホラーマンガの大傑作

公開日:2012/1/22

海の闇、月の影 (1)

ハード : PC/iPhone/iPad/Android 発売元 : 小学館
ジャンル:コミック 購入元:eBookJapan
著者名:篠原千絵 価格:432円

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恐怖ってちょっとした麻薬だと思います。
『海の闇、月の影』は、最後の最後まで恐怖と哀しみで引っ張って行ったあげく、ハッピーエンドとはとても言えないのに、なぜかいやな気持にはさせられず、最後には涙しか残らなかったという衝撃的な作品。読んでいた時のあの感じはもはや中毒症状といえるでしょう。

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簡単に言えば、同じ人を好きになってしまった双子の姉妹の、悲劇のお話です。ウイルスによって人ならざる力を手に入れた双子。好きな人を手に入れられなかった姉の流水(るみ)の憎しみと欲望はウイルスによって増大し、多くの人を操り手にかけながら、なんとかして妹・流風(るか)を殺して彼を手に入れようとする…。

「悪」となってしまったけど、ただひたすら一途で、ウイルスによって狂わされてしまった流水の想い。怯え、怒り、悲しみながらもそれに対峙する流風。元々はとても仲の良かった双子、一度は自分の気持ちを殺して「おめでとう」と笑った流水の笑顔。涙なしでは読めません。

この作品の感想は、「ただひたすら怖い。哀しい」。
「えっ、そこまでやっちゃう!?」ってくらい残酷な展開が次々と待ち受けていて、辛い気持ちにしかならないのに、次に起こる何かを見たくてページをめくり続けました。

篠原千絵さんの作品はどれも、とても吸引力が強い。私が読んだのは女子校時代の教室で。この作品をはじめ、篠原さんの漫画は新旧とわず大流行しておりました。多分みんなそろって、篠原さんの漫画へ中毒症状を起こしていたのでしょう。

初めて読んだのは10年以上も前ですが、とにかく印象に凝っている作品です。読み返してもその衝撃は衰えていませんでした。むしろ再び、「あわわわわわ」と怯えながら、18巻一気読み。

掲載開始は1987年ですが、ずっと読み継がれてほしい作品のひとつです。

元々はとても仲の良い双子だった二人

偶然入り込んだ場所で、ウイルスに感染して…

力を手に入れてしまった流水。彼女の暴走がここから始まります (C)篠原千絵/小学館