エディターレビュー

ただ彼女に恋をしただけなのに…ショパンのノクターンが響き渡る儚いSFファンタジー

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2012年01月28日(土) 13:00 本間詩織  

グリーン・レクイエム

発売元
講談社
購入元
電子文庫パブリ
価格
472円
  • 恋愛もの
  • ハラハラドキドキ
  • 元気になる

総合評価

★★★★☆

私はSFファンタジーは、世界感と現実感の絶妙なバランスが大事だと思うんです。

ただ幻想的な話をされてもつまらないし、現実感ばかりあっても、それじゃあSFを選んだ意味がないと思うのです。つまり、どれだけの現実感を持ちつつ、どこまで突拍子もない異世界まで連れて行ってくれるのか!? そんなことを期待しながら私は「グリーン・レクイエム」を読みました。

作品を読む(グリーン・レクイエム)

読み始めは、ありきたりな恋のお話? と思いました。
毎日決まった時間に公園にやってくる白いワンピース姿に髪の長い女の子。
その子に恋をした男性との恋物語。

何かが起こるとしても、この優しく穏やかな雰囲気は壊れないだろうと予想していたのですが、その女の子には重大な秘密がありました。

でもまさかこの恋が地球の環境問題、食糧問題にまで関わってくるとは思いもしませんでした。淡い恋物語でありながら、いつの時代も変わらず強欲な人間、そして地球の抱えている問題を露わにした本書は短編とは思えないくらい内容が充実していてメッセージもしっかりと伝えてくれる、読み応えのある作品でした。

この物語を楽しむと同時に、書かれた1980年の当時からあまり変わっていない地球の現状を考えてしまいました。それが、この作品の魅力でもあると思います。そして本書には「グリーン・レクイエム」の他に「週に一度のお食事を」「宇宙魚顚末記」が収録されています。何かの合間に読むにはぴったりな短編作品集になっています!

最後に、私の母も15歳の時に新井素子さんの作品を好んで読んでいたようで、実家に眠っていたそれらを先日宅配にて送ってもらいました。母の少女時代に受け入れられていたものが、今も色褪せずに人の心に響いている。それは何より良い作品の証拠だと私は確信しています。

物語のプロローグ 明日香が来るのを待っている主人公、信彦

彼女がきっかり20分間だけ公園いるのには ある事情があるのです

信彦は幼少期に緑の髪の少女に出会った…少女は明日香によく似ていたのだ

作品を読む(グリーン・レクイエム)
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