明智光秀を独自の視点で魅力たっぷりに描いた力作
公開日:2012/1/29
覇王の月〜明智光秀の生涯〜
ハード : PC/iPhone/iPad/Android | 発売元 : 松文館 |
ジャンル:コミック | 購入元:電子貸本Renta! |
著者名:楠本弘樹 | 価格:315円 |
※最新の価格はストアでご確認ください。 |
坂本城で明智光秀像と撮った2ショット写真を大事にしている矢澤りえかです!
物語は、光秀が朝倉義景に仕えているところから始まります。足利義昭の上洛に際して細川藤孝が朝倉家に助力を求めてきたことが光秀の人生の転機となり、主君は朝倉義景から足利義昭、そして織田信長へと変わっていくのです。
あとがきにもありますが、史実に沿って展開され、歴史好きとしては好印象でした。日常を描くにあたってはどうしてもフィクションとして描かなければならないと思うのですが、亀とスッポンのエピソードはその人物の特徴がよく表現され、作者の解釈と創作力にセンスを感じました。
キャラクターにイケメンが多く、言葉遣いも現代風で、随所でゆる~いタッチのキャラクターが登場してちょっと和ませてくれたりするので、女子向きの作品かな~と思ったのですが、戦のシーンは迫力があり、細部までこだわりを感じられました。
この作品で特徴的なのが、信長があまり悪く描かれてないことです。比叡山焼き討ちにおいては、信長の無慈悲さよりも、光秀の倫理観に焦点をおいた構成になっており、また信長は光秀の才能を買っていたにも関わらず、本能寺の変に至ったというちょっと悲劇的な匂いも漂わせています。ちなみに、本能寺の変に至った要因は明らかになっておらず、諸説あるのです。本書では、最も一般的である光秀が単独で犯行に及んだ説が採用され、理由については諸説の中からかいつまみ複合的なものとしたことで、光秀の抱えていたぐちゃぐちゃした心の葛藤をよりリアルに、膨らみを持たせることに成功しているといえます。
本編後に信長のイラストが収録されているのですが、男! 織田信長! という感じで、めちゃめちゃかっこいいのです!(是非チェックして!) 本編の絵のタッチとはまた違った、信長のイラストのような男くさい漫画も読んでみたいなぁ。4コマまんがも面白くて、別冊で書籍化してもいいんじゃない!? というクオリティでした!
画力もさることながら、しっかりと研究がなされている上で明智光秀という人物を魅力的に描いた作品だと感じました。
細川藤孝との関係にも注目です
ほほう坂本城のモデルに彦根城を選んだのかー
亀とスッポンのエピソードの1シーン、伏線の張り方が心憎い