電子書籍ならではの仕掛けと魅力。日常にほんわか寄り添ってくれる抒情マンガ
公開日:2012/1/31
自分だけがひとりぼっちのような気がしてしまう瞬間に、ふとケータイを握り締める。誰かにメールをしたり電話で声を聴いたりしたいけれど、できなくて。
そんなときにこそこの『いつも、どこかで』をおススメしたい。さみしいのも頑張ってるのも、きっと自分だけじゃない。そんなふうにきっと励ましてくれるから。
このマンガのすごいところはやはり、現実の時間とリンクしているところでしょう。
24時間のそれぞれ1時間がひとつの章になっていて、まさしくその時間でないと章を開くことができないのです。
夜中の12時、好きな女の子にメールを送ろうか悩んでけっきょく送れない男の子。鳴らないケータイを見てため息をつく女の子。夜中の2時。夜の仕事から帰ってひとり、漫画のペン入れをはじめる女性。朝の9時、それぞれの朝に追われて戦闘態勢のお母さん。それぞれの戦場へ武装していく、それぞれの人達。
などなど…台詞はひとつもありませんが、画面から沸き立つ抒情にきゅんとなったり、癒されたり、はっとしたり。いまこの時間もそれぞれ頑張っている人がきっといるだろう、とほんとに思わせてくれるのです。だから私もがんばろう。だから私はひとりじゃない。そんなふうに。
まあ、ほんとに現実とリンクしているので、朝の3時やら4時やらはもちろん、タイミングを逃すといつまでたってもあけられない章なんてものが存在するわけで、なかなか簡単には読ませてくれないてごわいコミックでもあります。
けれど全話を最初から(最初をどこに設定するかはおいといて)読んでいくと、またちがった味わいが出てきて、それもまた魅力のひとつ。ちなみに全話あけると最後におまけも読めるので、がんばってコンプリートしてみてください。
目次。まだ開いていない章はモノクロです
言葉はなくとも彼のもどかしさはぞんぶんに伝わってきます