まさに不朽の名作、平成の現在まで脈々と続く大作「釣りキチ三平」の番外編

公開日:2012/2/5

釣りキチ三平 番外編 (1)

ハード : PC/iPhone/iPad/Android 発売元 : 講談社
ジャンル:コミック 購入元:eBookJapan
著者名:矢口高雄 価格:432円

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1973年より10年に渡って少年マガジンで連載が開始され、各方面からの絶大なるラブコールに応える形でなんと平成になってから復活した不朽の名作。自然を描かせたらおそらく世界最高峰の偉大なる作家、矢口高雄のライフワークがこの「釣りキチ三平」。

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主人公、三平三平(みひらさんぺい)の誰も考えつかないような釣技や、三平の狙う奇想天外なターゲットもすばらしいのだけど、この作品の最大の魅力は天真爛漫な三平の真っ直ぐ過ぎるほどの純真さ。そんな三平を周囲で暖かく見守る祖父・三平一平や、兄貴分の鮎川魚紳など、大人ですら憧れるカッコイイ登場人物が多い。全ての年代が抵抗なく読める、至極の傑作である。

この番外編(1)は、シリーズ本編から少しだけ外れた短めのストーリーを集めたもの。タイトルだけで興味をさらわれる「秘技!念力釣りの巻」、幻の鯉を追う「桔梗ムラサキ鯉の巻」、何故か相撲が絡められた「ジンケンのよびもどし釣り」の3編が掲載されている。

ショートストーリーとは言っても、手抜きの類は一切感じられず。三平や正治、ユリの豊かな表情に目が行きがちなのだけど、背景の山や渓流、田畑や古民家等の書き込み振りは凄まじく、それだけで充分展覧会が行えるレベル。更にスピード線や集中線などの装飾系技法が、他では一切見られない程の迫力に満ちているのもポイント。精密さ・緻密さでは、きっと誰も追いつけないのではないだろうか?

もちろん、「釣り」を趣味とする人たちには老若男女を問わず必読の作品。太公望の皆様には、番外編だけでなく、平成版も含めた全てのシリーズの読破を強くオススメします!

冒頭・三平に届いた挑戦状、「念力釣り」を駆使する山伏コンビとは?

圧倒的な自然描写、渓流の風景をここまで見事に描かれるともう脱帽もの

釣りシーンはさすがの迫力、コマの使い方にも注目!

もちろん魚の描写も精彩で美しい、多数の魚が丁寧に描かれている

矢口高雄のもう1つの真骨頂、スピード線が絶妙な効果の相撲シーン

古民家など、細かな部分の書き込み振りが凄い! (C)矢口高雄/講談社