モノにとりついた人たちが繰り広げる摩訶不思議な物語
公開日:2012/2/6
どうしてもこの世に未練があって死んだことに納得がいかない人々のために、日夜業務を果たしているのが「とりつくしま係」。大切な人の元へ行きたい、という願いを持つ人たちが、この世にあるなにかのモノにとりつく…という、不思議な物語です。
ただしとりつくことができるものは、あくまでも“モノ”だけ。生きているものには魂の先住民がいるので、とりつくことはできません。
この作品の登場人物たちがとりついたモノは、それぞれ自分の会いたいと思っていた身近な人たちの身近にあったモノたち。
夫のお気に入りのトリケラトプスのカップや、公園にある青いジャングルジム、秘かに思いを寄せていた女性の名札や、好きな男の子の彼女のリップクリーム、孫に買ってあげたカメラなどなど…。
登場人物たちがどうしてそのモノを選んだのか、大切な人とそのモノとの間にどんな思い出があるのか、そしてモノにとりついた後に大切な人とどうなったかなどを読んでいるうちに、ものすごく切ない気持ちになりました。
モノにとりついて無事大切な人の元へ行けた人もいれば、行けなかった人もいます。行けたけど捨てられてしまった人もいます。モノについた人たちの気持ちや、その人たちが大切だと思った人たちの様子がとても丁寧に描かれていて、いろいろと考えさせられた作品でした。
とりつくしまの希望を聞いてあげるのが「とりつくしま係」です
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