「奥の細道」×「ゾンビ」!? 奇抜なアイディアがキラリと光る!

ライトノベル

公開日:2012/2/26

奥ノ細道・オブ・ザ・デッド

ハード : PC/iPhone/iPad 発売元 : PHP研究所
ジャンル: 購入元:電子文庫パブリ
著者名:森晶麿 価格:600円

※最新の価格はストアでご確認ください。

時は元禄。『生類憐れみの令』で知られる犬将軍・徳川綱吉(とくがわつなよし)の時代。ゾンビのように人の生肉を喰らい「おどろ歩き」をする人々は「屍僕(しぼく)」とよばれ、瞬く間に江戸の町にあふれかえっていった。将軍に仕える柳沢吉保(やなぎさわよしやす)は、俳諧師の松尾芭蕉(まつおばしょう)に命じてその謎を探らせようとする。芭蕉は弟子であり主人公の曾良(そら)とともに、血にまみれた江戸を旅立つ――。

第1回アガサ・クリスティ賞受賞作家・森晶麿(もりあきまろ)が描く新感覚の『奥の細道』!

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とにかくインパクトは絶大です。かの有名な松尾芭蕉の「奥の細道」に、「妖怪」や「幽霊」ではなく、『ゾンビ』を混ぜた森氏の発想力には舌を巻きました。物語はまず、漫画で始まります。11ページほど進んだ後、目次があり、その後に本編――という作り。道中、敵の屍をバッタバッタと倒しながら名所を巡り、その際に「奥の細道」で有名な「夏草や兵どもが夢の跡」等の俳句を詠います。これがまた本文とピッタリと合っており、感動しました。

しかし、残念だなと思ったことが1つだけ。章の合間にある「用語あや解き」という解説ページがあるのですが、ページ中盤で唐突に、まだ出てきてもいないネタバレ的な用語説明があったことです。でも、そのお陰でますます話が気になって早く読みたいという衝動に駆られました(笑)。

個人的に気に入っているのは、曾良くんのキャラクターです。お姉ちゃん大好きな男の娘(こ)。しかも、人が着ていた着物を身にまとうと「その人」になりきり、しかも、しゃべり方まで「その人」になってしまうんです。たとえば、大好きなお姉さんの着物を身にまとうと、強気で色気ムンムンなキャラクターに変身します。もともと美少年、という設定なので女装も似合うというわけです。なにこれずっこい。でも、素の曾良くんはとても感情表現豊かな子で、弟に欲しいなと思いました。

謎解きが好き、ゲーム「バイオハザード」のような雰囲気が好き、男の娘が好き(笑)、イケメンと美少年のちょっとアヤシイ関係が好き、という方にオススメの1冊です。


「登場人物図」その1。カラーです。色気ムンムンなあかねさんが大好きです

「登場人物図」その2。銀髪男子・英一蝶(はなぶさいっちょう)がエロすぎて目のやり場に困ります

無数の手に驚いてるこの美少女は、まさかのあの人物!

おどろおどろしさが文字全体を通じて伝わってきます…!