vsナチス…護るべきは“ヒトラーの血を継ぐ”少年。手に汗握る展開がたまらない『NeuN』

マンガ

公開日:2018/2/10


1940年、ドイツの小さな村に暮らす少年・ノイン。そして、いつも傍には彼を見守る青年テオ・ベッカーがいた。

ノインには、秘密があった。ナチスによって人工的につくられた13人のヒトラーの子のうち一人であり、そしてテオは その護衛任務につくSS(ナチス親衛隊)の隊員であったのだ。

突如SSの将校が村を訪れ、テオに命令が下るが…。その目的は、9番(ノイン)を抹殺するためだった。

なぜナチスがノインを殺そうとするのか。わからぬまま追っ手が迫る。テオは組織を裏切り、ノインを守る決断をする。

ノインたちを“粛清”するために暗躍するのは、同じくヒトラーの血を継ぐゼクス(6番)!? その目的とは?

ヒトラーの子、ノインが向かう未来とは?

 “ナチス”と聞くだけで、陰鬱な灰色の風景を想像して重苦しさを感じる。
 高橋ツトム先生の絵は、まさにそんな雰囲気の中で繰り広げられる命がけの逃亡劇にこれ以上ないほどにハマっており、緊迫感あふれるモノクロ映画を観ているようだ。

 本作は、ヒトラーの血を継ぐ少年・ノインと、彼を護るためにナチスを裏切った元SS(ナチス親衛隊)隊員・テオの逃亡を描いた作品だ。
 ナチスの兵隊といえば、命令次第でいくらでも冷徹になれるというイメージがある。
 テオもあまり喜怒哀楽を表に出すタイプではないようだが、彼なりの強い意志をもって、ナチスを裏切ってまでノインの命を護ろうとする行動はこのイメージとはまったく異なり、とても人間味がある。
 また、自身の出生の秘密を知らずに育ったノインも、それを知って自分に生きる価値があるのか思い悩む。
 二人の人間らしい一面と、ノイン抹殺のために非情に振舞うSSのコントラストが印象的だ。

 旅の中で出会う兄弟や女戦士の登場、眠っていたノインの能力が覚醒を始めるなど、やがてストーリーはぐっと幅を広げながら進んでいく。
 背中がゾワっとしながらも、手に汗握る展開がたまらない。ジャンルとしては歴史だけではなく、ダークファンタジーのファンにも“刺さる”作品だ。

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NeuN
レーベル:ヤングマガジン
出版社:講談社
著者:高橋ツトム
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(C)高橋ツトム/講談社