ブレイン・クラッシュ! 乱歩が放つ右フックの応酬!
更新日:2012/3/16
いよいよ大乱歩全集も最終巻。第三集であります。
第一集は幻想奇譚、第二集は本格推理と続いてきた本作ですが、第三集はその集大成にふさわしく、前作両方を絶妙にブレンドした面妖な読み味の作品が収録されています。
収録作品は以下のとおり。
・赤い部屋 ・人間椅子
・芋虫 ・百面相役者
・覆面の舞踏者 ・一人二役
・お勢登場 ・木馬は廻る
・毒草 ・白昼夢
・火星の運河 ・空気男
・悪霊 ・指
・防空壕 ・押絵と旅する男
・目羅博士 ・双生児
・踊る一寸法師 ・人でなしの恋
・鏡地獄 ・虫
…なんという超・大ボリューム!
ラインナップも読み終える頃には乱歩中毒者になること請け合いの布陣となっています。それぞれがボージャック並です。
個人的ベストバウトである「赤い部屋」と「虫」がトップとアンカーに来ているあたりも、非常にニクイ。ちなみに、ここまで来ると、もはや普通人は本当に皆無です(いることはいます)。何しろ出てくる人物が妄想犯罪生活者と偏愛者しかいないのですからね。
しかしながら、そんな魍魎の跋扈する世界に麻痺しているのか、「さて、今回はどんな遊戯に興じてくれるのか」と、知らぬ間に退屈狂の妄想犯罪生活者特有の期待を寄せていたりする始末…。
気がつけば登場人物、著者、読者入り乱れての変態遊戯大会! 恐るべき世界であります。
無論、私は全くのノーマルでありますが、「ほら、どうだ。それが狂人特有の言い分というわけさ」と言われるとあるいは…。
…と、言ったように、最後の最後まで文言の向こうからこちらをグラグラと揺さぶってくる乱歩節。油断なぞしようものなら、即座にフックで顎を砕かれますので、最後の最後までガードを下ろしてはいけない!
この作品の読後感は非常に不愉快なのでオススメ
これも不快な作品なのでオススメ。ちょっと憎めない…ような
かの有名な本作。実は作品構造もエッジがきいてます