日本のワトソンは、時々ホームズで実はモリアーティ(当社比)
公開日:2012/3/25
本作は、ワトソンがホームズで、モリアーティであります。
はたまた、ホームズがワトソンであり、モリアーティ。もしくはモリアーティがホームズで…
…と、バカな私なりに要約すればするほど、余計に訳がわからなくなってしまう、実に不思議な作品集であります。
なにしろ冠された題名が、探偵小説集でもなく、推理小説集でもなく、“犯罪小説集”という所からして、相当に変ですよ奥さん!
ともあれ、収録される作品は以下…
・柳湯の事件
・途上
・私
・白昼鬼語
と、タッタの4作品。でも、なぁんだ4作品か、となめちゃあいけませんよ。
数の上では“タッタの”でありますが、内容にしては全くもって“タッタの”ではありませんので…。
それがすなわち、冒頭に申した奇妙な要約を意味しているのですが、そもそもの探偵小説における大筋といえば、超絶頭脳の探偵狂が一人、我々と同じ目線のぼんくらな語り手が一人、そして、これまた気の違ったような謀略家の下手人が一人、というようなものですね。そう、ご存知、ホームズ、ワットソン、モリアーティ、というわけです。
本作が不思議かつ面白いのは、それらがグルグルとごった煮になって、トッテモ妙な味を醸している所にあります。どの作品がどうかは申しませんけれども、(この面白いレビューに導かれてみなさんお読みになるはずなので)例えば、下手人が名探偵だったり、語り手が名探偵の下手人だという、劇的な作品構造を備えている(ように思えます)。
単純な犯行のトリックも去ることながら、最後の最後まで、一体全体誰がホームズでワットソンで、モリアーティなのか…!?
錯乱しすぎて、このレビュー終盤というタイミングで「バカモーン! ソイツはルパンじゃなーい! ここにいるわしがルパンだーっ!」と、別の分かりやすそうな例えを思いつく始末です。
毎日家に籠もり、絵描くかネット三昧かゲームしてるような私なので、「ほざけ!」とお疑いになるのはごもっともですが、まぁまぁ、ぜひ一度お読みいただきたい作品集であります。
この作品はヌラヌラ派です
ワールド オブ 盗人猛猛しさ
みんなのアイドル、退屈狂 with 神経衰弱野郎もほら!