罪を贖うべきはいったい誰? 寝不足覚悟のリーガルサスペンス

小説・エッセイ

公開日:2012/4/3

贖罪の奏鳴曲

ハード : PC/iPhone/iPad 発売元 : 講談社
ジャンル: 購入元:電子文庫パブリ
著者名:中山七里 価格:1,365円

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「どんでん返しが止まらない! 怒濤のリーガル・サスペンス!!」という宣伝文句に誘われるかのように、ダウンロードしてみました、『贖罪の奏鳴曲』。

悪名高い辣腕弁護士の御子柴礼司は、ある雨の晩、記者の死体を遺棄。警察の捜査の手は御子柴に伸びるのですが、彼には、被害者の死亡推定時刻に法廷にいたという“鉄壁のアリバイ”があったのです。

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死亡した記者の名は、加賀谷竜次。記者とはいえ、もっぱら、取材で得たネタをもとにしたゆすりで生計を立てていた彼がこのところ追っていたのが、ある保健金殺人事件。その事件の被告・東條美津子の国選弁護人を務めるのが、御子柴。御子柴は、夫殺しの容疑をかけられた東條美津子と、脳性麻痺を煩い、しゃべることも動くこともままならない東條の息子をしばしば訪れ、真相に迫ろうとします。

金に汚いと言われる御子柴が、たいしたお金にならない国選弁護人を引き受けるのはなぜなのか? 御子柴は冷静沈着かつ冷徹、そしてやはり、名誉やお金のためだけに弁護人を務める男なのか? そんな疑問に答えるかのごとく明かされる御子柴の暗い過去。彼は真に更生したのだろうか?

御子柴の行く先々には警察が姿を現し、御子柴と警察の駆け引きも見ものです。緊迫の法廷シーン、明かされる真実…と時には緩やかに、時には急展開と進んでいくドラマに引き込まれ、一気に読んでしまいました。

罪を贖うべきなのはいったい誰なのか? といった謎を残しながら、最後まで予想をくつがえす展開が続き、読者を飽きさせない1冊です。

ストーリーを楽しみつつも、罪を真に償うことの意味を考えさせれる本書、読み出したら止まらなくなるので、寝不足覚悟でご一読ください。


「奏鳴曲」と書いてソナタ。音楽好きな私には、タイトルも魅力的です

まずは死体の描写から。私はこの手の場面はちょっと苦手です