『宇宙兄弟』作者の原点。超カッコイイ泥棒ジジイが縦横無尽に駆け巡る

公開日:2012/4/10

ジジジイ GGG (1)

ハード : PC/iPhone/iPad/Android 発売元 : 講談社
ジャンル:コミック 購入元:eBookJapan
著者名:小山宙哉 価格:540円

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ついに『宇宙兄弟』のテレビアニメが4月1日にスタートしましたね。観ました? ユニコーンのオープニングテーマ「Feel So Moon」もすごくいいですね。本作『ジジジイ GGG』は、『宇宙兄弟』の作者・小山宙哉が初めて編集部に持ち込みをし、のちに賞を与えられた『じじじい』を、同じ主人公で新しく描き直した短篇集。

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持ち前の快足と身軽さで、街を騒がす怪盗「ハープ」。神出鬼没で、時には「うまい棒」を、または「歯ブラシ」を、さらには「バナナ」を盗んで、警察をキリキリ舞いさせる。正体は誰も知らない。そんなハープ、じつは年齢が70歳。いつも体を鍛えていて、精神的にもスーパーポジティブでスタイリッシュな“イカス”前期高齢者なのですが、義賊のハープは、弱い人のために盗みを働き、少女やおじいさんの心の傷を癒していきます。

ところで、現政府は「社会保障と税の一体改革」の必要性を掲げて、推し進めています。社会保障制度と消費税を含む税制の、抜本的な改革を成そうとするものです。医療保険や介護保険など、社会保障の財源見直しが急務とされています。実は、今からさかのぼること平成18年に、国は「介護保険法」を改正して、「介護予防」に舵を切り始めました。

介護予防とは、高齢者が要介護状態にならないよう、高齢者の日常生活に運動機能向上のための筋力トレーニングを取り入れたり、栄養改善や口腔機能の向上に効果がある取り組みに努めたりするもの。これにより、社会保障費の縮小を図るとともに、高齢者のQOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)を維持していこうというものなのです。介護施設などで、実際に介護予防の取り組むがすでになされています。

体を動かすと、精神面にもよい効果を与え、心身ともに健康になると期待できます。本作のハープのように、70歳を超えてからも、ますます夢を追い続けるイカス高齢者が増えていくと、日本はもっと明るく元気になることでしょうね。

『宇宙兄弟』の連載で超多忙なスケジュールを送る作者ですが、2巻で止まっている本作の続きの構想は持っているという情報もあるので、期待して待ちたい。


万引きで逃走中。「バケモン」のように素早い彼がハープ

忍者のように身軽。走行中の電車も飛び越える脅威の脚力

絵画を盗みにきたハープ。屋上から登場。意外性のある展開がユニーク

快足と身軽さは、普段のたゆみない筋トレから。独自の介護予防術で要介護状態とは無縁 (C)小山宙哉/講談社