『まどか☆マギカ』へとつらなる魔法少女の系譜
公開日:2012/5/26
カードキャプターさくら (1)
ハード : PC/iPhone/iPad/Android | 発売元 : 講談社 |
ジャンル:コミック | 購入元:eBookJapan |
著者名:CLAMP | 価格:540円 |
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「いまさら、こんな有名なのをレビューされてもねぇ…」という方! 同世代ですね。
「昭和って、大正時代の次でしょ?」というそこの平成な若人! ちょっと話を聞いてくれ。
この『カードキャプターさくら』という作品、思いっきり簡単に説明すると「12巻のコミックスになっている、魔法少女ものパターンにカードバトルゲームの要素と加えた物語」それだけだ。そのあたりは、あの『セーラームーン』が魔法少女ものに戦隊ものの要素を加えているのに似ている。
当然、アニメ化もされた。が、CLAMPは原作であると同時に、自らアニメのシリーズ構成も担当していた。それだけじゃない。少女コミックの装丁は少年マンガほど自由度が高くない。そこにこの作品は風穴を開けた。カバーからして、完全に『さくら』仕様だったのだ。そういった細かい仕事の積み重ねが、人を虜にするワールドを築いていたのだと思う。
でも、単にメディアミックス展開がうまかっただけなら10年以上昔の作品を取り上げたりしない。
注目してほしいのはセリフだ。
巻を追うごとに揺れ動くさくらの気持ちが、丁寧で深く考えてあるなぁ、と感心する言葉で綴られている。神は細部に宿るという。今読んでも懐かしさ以上のものを感じるのは、職人的にも作家的にも仕事が丁寧だったからだろう。
現在、全巻は電子化されていない。「クロウカード編」の6巻までだ。共通語的な物語がなくなりつつある今だからこそ、たった6冊のコミックスから入っていけるエポックメーキングな作品があることはすばらしいと思う。しかも本作は、中心となる男女の恋愛はもちろんだが、「百合」「BL」要素も含有されている贅沢設計。
あと、電子書籍版の読み心地を話すからもう少しつきあってくれ! いや、聞いてください。
まずコマを順番に追っていけるのか? それは気になった。少女マンガだし、コマを丁寧に追いかけていくことが重要だからね。が、杞憂だった。拡大せずとも手書き文字もちゃんと読めるレベルの解像度が確保されている。これは流石としか言いようがなかった。
物語の出だしは、オーソドックスな少女マンガの語り口だ
1巻で一番大胆なコマ割りを使ったページがこれだ
そのままでも読めないことはない
だが、横向きにするとこのようになる (C)CLAMP/講談社