12人のキーマンが語る展望から電子書籍の未来を目撃せよ!

公開日:2012/5/31

電子書籍は「楽園」か「荒野」か? 仮想報道特別編

ハード : PC/iPhone/iPad/Android 発売元 : KADOKAWA / アスキー・メディアワークス
ジャンル:趣味・実用・カルチャー 購入元:BOOK☆WALKER
著者名:歌田明弘 価格:350円

※最新の価格はストアでご確認ください。

70~80年代に子ども時代を過ごした私が、もう少しで叶うと思いながら実現しきれていない未来の筆頭に、リニアモーターカーや電子書籍がある。

本作を読んだのは2012年5月。テレビ電話や薄型テレビ、ブレードランナー的なアジア文化の台頭でさえ、すでに叶っているのに。電子書籍がどうなるのか知りたい。というか、どうなっているんだ? 夢みたいなシステムではなかったのか。

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出版社とIT企業との文化の違い、売り方の話から作家のこだわり、フォントの話などのコマゴマとした問題から利権についての大きな問題まで、課題が山積み過ぎて、電子書籍業界を牽引する12人のキーマンが語る展望を読んでいても閉塞感だらけだ。

本作は2010年~2011年に週刊アスキーに連載されていた記事を加筆・再編集したものなので、情報はやや古い。しかし、さしたる知識もなく読み始めても、こんなに短い間に電子書籍の「昔と今」を比べるように読めてしまう現状もあり、なるほどそこそこ進歩していることに改めて気づかされる。そして逆に、ほとんどの問題が現在もまだ半ばでキレイな解決を見ていないことにも気づかされる。

世界を変えるかのように思われた電子書籍も、業界全体の手打ちで落ち着くところに落ち着くという結果に終わるのか、誰かが覇権を握るのか。それとも革命的な新しい選択肢になってくれるのだろうか。

未来は荒野か楽園か。本当の答えはリアルタイムで目にするしかない。ここで読めるのは、2010~2011年に語られた理想、未来像。現状と比べて読むのも楽しい。さらに、これから電子書籍の未来をしっかり目撃しながらいつか「当時、真剣に描かれた未来」としてまとめられた本作を再読するのもおもしろいと思う。


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