6年間、27冊に及ぶ大河ロマンの始まり―

ライトノベル

公開日:2012/6/2

恋のドレスとつぼみの淑女 ― ヴィクトリアン・ローズ・テーラー

ハード : Windows/Mac/iPhone/iPad/Android/Reader 発売元 : 集英社
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:紀伊國屋書店Kinoppy
著者名:青木祐子 価格:442円

※最新の価格はストアでご確認ください。

昨年末に3ヶ月連続刊行をして、完結! と思いきや、満を持して2012年3月に『恋のドレスと白のカーテン』で本編の完結を無事迎えた「ヴィクトリアン・ローズ・テーラー」シリーズの記念すべき第1巻がこの『恋のドレスとつぼみの淑女』なんですよ。

全27巻です(うち短編集5冊を含む)。確か初版が2006年の頭だったはずだから、実に6年間にわたる物語だったんだね。

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6年って、簡単に書いてしまったけれど、すごいスパンよ? 小学生だった子が、大学受験とか考えちゃってるんだよなぁ。そう思うと、感慨深いものがあるわぁ。

まあ、このくらいの長さを少年マンガなどでやると、お約束みたいに途中から戦闘ものに変化していくのはよくあること。でもこの作品のすごいところは、1冊1話完結で物語が進行し、さらに本筋に必要な要素はすべて第1巻で開示されているのですよ。

どのくらい設定が煮詰めてあったかというと、第1巻と物語佳境の2冊くらいを、途中飛ばして読んでもそのまま読めてしまうほど。このたび電子版で読み直して、改めて「ぶれてないなぁ」と感心させられた次第。

接ぎ木みたいな作りにはなっていないのがポイント。主人公のクリスの過去、持っている力。そしてドレス作りを通して闘っていく闇のドレスの存在などなど。思わず、「ここまで知らされていたんだ!」と読み返してびっくりしたところはキャプチャーしましたから、チェックしてみてね。

当時はね、この年代を舞台にした作品が量産されていましたよ。でも、今読んでも楽しめる完成度の作品はそうそうない。個人的には『エマ』とこの『ヴィクトリアン・ローズ・テーラー』くらいじゃないかなぁ。そんなわけで、以前読んでた人も、知らなかった人も、これを機会にぜひ読んでいただきたい。


電子版での人物紹介だと証明写真みたいだが、性格を反映したドレスを着ています

クリスの作るすごいドレスに、あえて『残酷』という言葉を使った真意は…

『黒い箱馬車』『闇のドレス』など、物語のキーワードがあちこちにある